5082.2021年4月11日(日) 中国がミヤンマー人殺害を見過ごし

 憂慮していたミヤンマー情勢が益々緊迫してきた。現地に駐在していたメディアが国軍によってほとんど取材不許可、国外退去を命ぜられてニュース・ソースも素人のSNSに頼っていたが、国軍はこれも外部との通話が出来ないよう厳しく規制し始めた。このため日本へ伝えられるニュースも数少ない外国通信社に頼るだけになった。

 ロイター通信が昨日伝えたところによると、軍治安部隊がクーデターに抗議する市民らに重火器を使用して80人以上を殺害した。その一方で国軍は、国軍の系列テレビを通じて19人に死刑の判決を課したと伝えた。その理由は、先月27日の国軍記念日にデモ隊が国軍関係者を襲い、1人を殺害、1人にケガをさせたうえバイクや武器を奪って逃走したというものだ。但し、19人中17人は指名手配中である。国軍による市民弾圧は益々エスカレートして、3月に大都市に発令された戒厳令により、行政、司法の権限を地域の司令官に移譲し、重罪は軍事法廷で裁き、上訴も出来ないようにした。

 ミヤンマー国軍の強硬姿勢は、国内だけに留まらず、国連や在外公館にまで及んでいる。ロンドンのミヤンマー大使館では、国軍を非難した全権大使がミヤンマー人駐在武官によって大使館から追い出された。また、国軍によって解任されたチョーモートゥン国連大使も国軍を非難し、ミヤンマーを支援するよう訴えている。しかし、国連安保理事会が国軍に対して厳しい制裁を課そうとしても、中国とロシアの反対により効果的な手を打てないでいる。中ロ両国はミヤンマー問題に手を下すのは、ミヤンマーに対する内政干渉だと言い張っている。だが、現状がいつまでも続くようなら罪もないミヤンマー市民がこのまま殺害されるばかりである。これを内政不干渉との口実で黙って指をくわえて見ていても良いというのだろうか。そこには自ずから愛情、博愛、良識、モラルなどがある筈である。両国の対応は、あまりにも冷淡で非情ではないだろうか。このまま中国、ロシアの言葉通りミヤンマー国軍の暴力を見過ごしたら、中ロ両国はジェノサイド(集団殺害)を放置したことになる。それは取りも直さず、中国とロシアがミヤンマー人に対するジェノサイドを冒したのと同じことである。中国とロシアは自国の利ばかり考えずに、大国らしく冷静に現実を見て平和的な行動を取るべきではないか。さもないと、将来「大量殺人鬼・中国国民」と呼ばれるようになるだろう。

 魅力的な国、大好きな国民として現在までのミヤンマーについて今思いつくままにNPO誌に原稿を書いているが、書けば書くほどいろいろな思い出が蘇ってくる。何とかこれ以上情勢が悪化しないよう願うばかりである。中国がミヤンマーにごく当たり前の感情を持ってもらえれば、ミヤンマー情勢は大分好転すると確信している。もしこれ以上中国の関わり方が冷酷になるなら、個人的にも中国と言う国に愛想を尽かして、世界の最低民族国として見放すばかりである。

 それに引き換え、すっきりしたのは昨日まで開催されていた東京オリンピック代表選考会を兼ねた競泳の日本選手権で女子代表となった池江璃花子選手が、4種目を制したことである。一昨年2月に白血病と診断され、絶望のどん底に落とされ一時再起が危ぶまれた。3年前のアジア大会では出場全種目で金メダルを獲得して大会の最優秀選手に選ばれた。そして数か月後奈落の底へ突き落されるような不幸に追い込まれた。にも拘わらず、ひたすら自分の力を信じて地道な努力で2年後に再び第一線選手としてカムバックしたのだから素晴らしいことだし、実に爽やかである。比較が少々的外れかも知れないが、最近の中国という国の存在は、この爽やかな20歳の女子選手の対極にあるような気がしてならない。

2021年4月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com