5080.2021年4月9日(金) 冬季五輪北京大会ボイコットをどう思うか。

 開催が極めて不安視されている7月の東京オリンピックに、一昨日北朝鮮が不参加を決めたとのニュースが入った。新型コロナウィルスから選手を守るためと言っているようだが、国内の経済問題が絡んでいるようだ。正式に東京オリンピック組織委員会とか、IOCへ連絡したわけではなく、朝鮮中央通信が一方的に発表したものである。いつもながら正式な手順を踏まない常識を欠く国らしい。開催準備で苦慮している開催国である日本に対しても礼を失している。前回リオ大会に参加した北朝鮮は35人の選手を派遣して、金2、銀3、銅2計7個のメダルを獲得した。

 ところが、アメリカ国務省内に来年の冬季オリンピック北京大会を同盟国と共同してボイコットする案が持ち上がった。プライス報道官が記者会見で新疆ウィグル自治区の人権抑圧問題を厳しく指弾したのである。直ちに中国は反発し、東京大会を間近に控える日本は当惑し関係者から困惑の声が出ている。ウィグル族の人権問題はひとつのきっかけであり、米中対立の強硬論から生まれたものである。だが、アスリートは素直に従うわけがない。1980年のモスクワ大会では、前年に当時のソ連がアフガニスタンに侵攻した行為に対して大会ボイコットの声が挙がった。アメリカはオリンピック参加は国家による決定を飛び越えて選手団、つまり国のオリンピック委員会が決定した。結果的に西ドイツを除くほとんどのヨーロッパは、政府の意向とは別にオリンピック委員会が参加を決めた。当時日本でも参加、不参加の議論があったが、政府の決定に対して選手団は一部の反対を無視して泣く泣く政府の方針に従った。テレビでも金メダル獲得確実を言われたレスリングの高田裕司選手が涙を流しながら出場をアピールする姿が国民の同情を誘った。

 このプライス報道官の発言にアメリカ国内では一部賛成の声もあるが、アメリカ・オリンピック委員会、及びパラリンピック委員会は毅然として反対している。両委員会のライオンズ委員長は、「ボイコットは過去、選手にとっては負の影響しかない。中国で起きている人権侵害を軽視したわけでは決してないが、アメリカの若い選手たちが、政治的な駒として使われるべきではない」とはっきり明言している。イギリスのジョンソン首相もボイコットをすでに否定し、イギリスは一般的にスポーツ関連のボイコットは支持していないと主張した。カナダ政府はカナダオリンピック・パラリンピック委員会が決めると政府は関わらないことを言明した。日本はアメリカから同調の圧力があった場合、この声をどう受け止めるか、前記のように反対が多い中で、いつものようにアメリカの言いなりになるわけには行くまい。政府は参加、不参加の決定をJOCに委ねると話すだけで好いのではないか。それにしてもアメリカは、同盟国内にボイコット反対の声が強い中でプライス報道官のコメントに沿っていかなる行動を取るだろうか。

 こればかりは、アメリカも同盟国を束ねることは難しいだろう。人権抑圧はそれとして、政治を安易にスポーツの場へ持ち出すべきではないと思う。

 さて、突然であるが、今晩イギリスのエリザベス女王の夫・エジンバラ公フィリップ殿下がウィンザー城で亡くなられたとイギリス王室が発表した。99歳だった。最近ハリー王子家族と王室との間で穏やかならぬ騒動が伝えられていただけにイギリスも大変だと思う。

2021年4月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com