2606.2014年7月2日(水) アルゼンチンのデフォルト危機

 アルゼンチンがデフォルトの危機に直面している。アルゼンチン政府は先月30日に同国国債の保有者への利払い期限を迎えた。だが、アルゼンチンは利払いできないわけではなかったが実行しなかった。そこには伏線があった。債権者であるアメリカの投資ファンドとの間で裁判沙汰になり好ましくない判決を得たことが大きい。元本削減を求められたアメリカの投資ファンドは満額支払を求めてアメリカで法廷闘争の末、アルゼンチン政府に対して他の投資ファンドより優先的に全額を支払ってもらえる判決を得た。

 そもそもの発端はアルゼンチン政府が提案している債務リストラ案を件の投資ファンドが拒絶したからである。みすみす資産の減少を意味する提案を、アルゼンチン政府から「はげたか」とまで揶揄されたアメリカの投資ファンドが受け入れようとしなかったからである。

 その回避のための猶予期間は1カ月である。この国は13年前にもデフォルトに陥った。国家としてはいささか甘い金融政策であり経済運営である。不名誉なできごとだし、国際社会の信用を大きく損なっている。

 それにしても南米諸国は経済不安、インフレ、デフォルトの可能性などから国際社会の信用が薄い。現在アルゼンチンは国際金融市場から排除されている。お隣のブラジルにしても、ワールドカップや、来るべき2016年リオ・オリンピック開催で一見経済成長、経済発展を窺がわせるが、必ずしも実態はそうでもなく、不安定なことはワールドカップ直前の競技場施設工事の遅れなどでも露見した。

 昨日アルゼンチン政府が朝日新聞全一面に本件に関する「公式声明文」を掲載した。「アルゼンチンは支払う」というものである。国債の利払いを約束したのである。アメリカの司法に対する恨みつらみをぶちまけて国家として責任を以って利払いを行うことを約束したものだ。こんな国家の恥をさらすような広告を見たのは初めてだ。とにかく世界中を騒がせた事件である。

 翻って日本だって多額の借金を背負っていて他人事ではないが、幸い日本国債保有者が「はげたか」海外投資ファンドなどでなく、日本人の預貯金が借金を上回ることがその危機を逃れさせている。それでも基本的に一旦事態が急変すれば、アルゼンチンの二の舞に陥る恐れがないわけではない。対岸の火山視せず、国会議員は国の借金を削減するよう務めるべきである。

2014年7月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com