5042.2021年3月2日(火) 官僚の接待漬けは、首相への忖度の故か。

 9日間も燃え続けていた栃木県足利市の山火事が昨日漸く鎮まったと公表された。市内の一部の学校も休校となり、山麓の住民は一時的に避難していた。連日テレビでヘリコプターが消火作業をする様子が放映されていた。この山火事により、東京ドーム約330個分の山林が灰燼に帰した。もったいないなぁとつくづく思う。

 さて、このところ官僚の接待疑惑が大きな問題となり、政官界を揺さぶっている。とりわけ大きな話題となったのは、菅首相の子息が務めるBS、CSの放映チャンネル権を持っている東北新社が、監督官庁の総務省官僚を接待していた疑惑である。官僚には、内規の国家公務員倫理規程により関係ある業者から接待を受けてはならないと定められている。それを百も承知している筈の総務省事務次官、審議官、局長ら幹部が、安易に総務省と関係深い企業、東北新社から饗応を受けたというノーテンキぶりと、そこへ至った事情は、首相の子息が絡んだからであると見られていた。これがきっかけでかなり事実が明らかになり、総務省はこの接待問題で11人を処分した。聞いて驚くのは、接待が日常化していたことであり、分かっただけで同じような接待が39件もあり、その内21件に菅首相の子息が同席していた。これに関連して首相記者会見を仕切る山田真貴子・内閣広報官まで東北新社から接待を受けていたことが判明した。その1回当りの費用が7万円を超えていたというから、別の面で興味と関心を呼んだ。山田広報官は反省しながらも一度は職務を全うすると述べていたが、昨日になって辞職することになり、続投させると言っていた首相の判断の甘さも批判を浴びている。

 この他に農水省でも大臣の接待が明らかになった。3年前吉川貴盛・元農相が当時の事務次官、担当局長、部長らとともに鶏卵生産業者「アキタフーズ」代表者から資金の提供を受けていた。これにより吉川元農水相は収賄罪により起訴された挙句に、健康面を理由に議員辞職した。農水次官ら6人も処分を受けた。どうして役人はこうも脇が甘いのだろうか。

 現時点では、首相の家族が関係するスキャンダルへ発展した結果、首相がいくら子息とは別人格と言い張って距離を置こうが、世間ではそうとは見ない。接待を受けた総務省役人の間には、首相の子息との接触は首相への忖度だったと見られている。スキャンダルは一旦処分することで決着をつけたように思われがちだが、高級官僚と企業との癒着はそう簡単に終焉というわけには行くものではない。それにしても菅首相もたたき上げの苦労人とのイメージが定着していたが、子息の行動によっていとも簡単にそのイメージは崩れてしまった。権力を手に入れるとつい見境もなくそれを振るってみたくなるもののようだ。

 ところで、朝日新聞は今日の朝刊紙が、明治12(1879)年1月25日発刊以来ちょうど5万号になったという。142年もかかっている。現存する日刊新聞社の中では、毎日(当時東京日日)、信濃毎日、読売に次いで古い。ただ、簡単に計算してみると日数は51,191号相当だった。3年分ほど空白期間がある。きっと戦争、社会情勢、新聞社内の事情などによって毎日は発行しきれなかったのだろう。それにしてもこれらの新聞が今日まで生き残って来られたのは、その陰には内外に苦労された多くの方々がおられたからだろう。決して見過ごしてはならないことだと思う。

2021年3月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com