1月に華々しく万能STAP細胞の発見を発表して脚光を浴びた記者会見の場では、理化学研究所の小保方晴子研究ユニット・リーダーの隣に、論文共著者でもある発生・再生科学総合研究センター(CDB)副センター長笹井芳樹氏の誇らしい姿も見られた。その後しばらくして論文の正当性に疑問が抱かれ、同じ共著者のひとりだった山梨大学若山照彦教授が執筆者から降りて小保方氏は四面楚歌になった厳しい環境下に、小保方氏の指導者で彼女を支えていた笹井氏が今朝理化学研究所内で首つり自殺を図り亡くなった。何という悲劇であろうか、小保方論文に取りついた悪霊はどこまでもこびりついていた。ノーベル賞受賞者の野依良治理事長は、かけがえのない科学者を失ったと述べ、哀悼の意を表明した。
それにしても、世界的な科学者として将来を嘱望され、羨ましいポジションにいた笹井氏がなぜ自らの命を絶つまでの決意を固めたのだろうか。厳しく言えば、科学者として、また普通の常識人としてあまりにも浅はかだったと言わざるを得ない。本人は心身ともに相当疲れていたらしいが、これだけ世間を騒がせたSTAP細胞事件の調査が始まってまもなく、しかもその中心人物であり、研究チームを支えていた人物がこうも簡単に自らの生命を絶ってしまうとは、考えようによっては無責任過ぎると思う。宿題だけを負わされたまま、小保方氏らは前へ進まなければならない状況の中にいる。細胞問題は未だ解明の途上にある。
4月に理化学研究所は野依理事長以下スタッフが揃って論文の不正について謝罪会見を行い、責任の所在、不正調査、今後の対策などについて語ったが、その際理化学研究所内のあまりにも世間慣れしていない稚拙な行動と対応の過程で、世間知らずの学者たちの象牙の塔内の騒ぎが図らずも表へ噴き出たのだと世の嘲笑を買った。所詮学者の世間知らずのなせる技だと嘲笑われたのだ。
世間から疑惑の目で見られるようになった理化学研究所が、今後体制を立て直し、実績・成果を上げ、国民の信頼を取り戻すことができるだろうか。STAP細胞の存在の有無が解明されることが強く望まれる。
さて、今日も暑い。群馬県館林市では39.5℃を記録し、今年に入って全国で最高値を記録した。気象の急変は、関東地方の炎暑ばかりでなく、一昨日以来の西日本、特に四国で大雨を降らし、各地で土砂災害が心配されている。そして、北海道でも昨日から大雨である。
人為的な事象としては、パレスチナ・ガザ地区で続いていた激しい戦闘が、ここへ来て漸く3日間の停戦が実現した。あくまで3日間の有期限である。これまでは一方が停戦を受諾しても、相手が受け入れず、停戦、況してや休戦は期待できなかった。今度ばかりは国際社会の要請を受けた形で、ハマスを信用しないエジプトが珍しく仲介の労を執ることによって、イスラエルとの一時停戦が実現することになった。すでに2000名近い犠牲者が出ている。何とかこのまま休戦へと進んで行かないものだろうか。