4995.2021年1月14日(木) 半藤一利氏逝去と朴槿恵・前韓国大統領実刑

 12日作家の半藤一利氏が亡くなられた。享年90歳だった。半藤氏は日本の近代戦争について氏なりの視点から深く切り込んで日本の近代戦争史に関する多くの作品を著された。主たる作品に「日本のいちばん長い日」と「ノモンハンの夏」がある。前者は映画にもなって話題になった。

 文芸春秋社の駆け出し記者時代に伊藤正徳の取材執筆を手伝っていたというが、私自身伊藤の「帝国陸軍の最後」シリーズをすべて読了した。ガダルカナル島の悲惨な戦いを知ったのもこのシリーズだった。その後ガダルカナル島を訪れ戦争の残滓を見て、半藤氏もここを訪れて戦記を肉付けしたのだろうと感慨に耽ったことが思い出される。

 実は、20年前に大作のひとつ「ノモンハンの夏」を読んだ。同書はゾルゲ事件について触れていたが、残念ながら私の友人の父ブランコ・ド・ブケリッチ氏についてあまり好意的に描いていなかった。当時存命だった大学ゼミの恩師・飯田鼎教授にその点について伺ったら、半藤氏は個人的に好き嫌いがあるようだと仰っていた。今朝の新聞評論を読むと幕末維新期の人物像を描いた司馬遼太郎についても、歴史上恥ずべき、ヘドの出るような昭和の人物像は描けなかったとかなり辛辣な見方で受け止めているほどである。それでも昭和史シリーズを随分読んだ。特に、2.26事件の描写は興味深かった。そういう意味では、半藤氏から日本の近代戦争史、特に影の歴史を学ばせてもらった。ご冥福をお祈りしたい。

 このところアメリカでは20日の前副大統領バイデン氏の大統領就任式とトランプ大統領の弾劾問題が大きな話題である。大統領として2度目の弾劾訴追されるのは、トランプ氏が初めてである。

 ところがお隣の韓国では、4年前に当時の朴槿恵大統領が弾劾訴追され大統領の職を去った。今日韓国大法院はソウル高裁の差し戻し審判決への上告を棄却して、その朴槿恵前大統領の実刑20年の判決を決定した。一国の最高の地位にある大統領が、実刑で収監されることなんて日本ではまず想像出来ない。朴被告の罪とは、大統領在任中親しい友人と共謀して財閥サムソン・グループから巨額の賄賂を受け取った罪である。それにしても20年の実刑に、すでに公職選挙法違反で2年の実刑を受け、合せて22年間の収監である。韓国では、李明博元大統領も収賄罪で懲役17年の実刑が確定して収監されている。他に盧泰愚元大統領と全斗煥元大統領も収監されている。その点では、日本の国会議員は賄賂を受け取っても国会議員を辞めることもなく、毎月高給をいただいている。これだから日本の政治家は世間を舐めて真剣味と人間としてのモラルが身に着かないのだろう。

2021年1月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com