4944.2020年11月24日(火) 厚顔政治家の狡さとメディアへの政治的圧力

 江戸時代茨城県高萩市が生んだ偉人に、長久保赤水という地理学者がいたと知った。今まで茨城県教育庁をはじめ、県の教育機関を随分訪れたが、その名を聞いたことはついぞなかった。水戸藩の儒学者で、日本で多くの情報を集めて初めて緯度と経度を記した日本地図を作成したことで知られ、それは国の重要文化財に指定されている。代表作として、「改正日本輿地路程全図」がある。そこには中国との間でもめている尖閣諸島が日本領土として記載されているそうだから、その地図を中国に見せてやったら好い。実際に日本中を歩いて測量し日本地図を完成させた伊能忠敬より42年も早かった。高萩市では高萩駅前に赤水銅像の設置以外にも、市内のマンホールの蓋に上記の赤水の地図を描いて市民、並びに市を訪れた人々にその名をPRしている。シーボルトらも参考にしたとの話もある。今朝のNHKニュースで紹介していたが、隠れた偉人がまだまだどこにいるかは分からないものだ。

 さて、安倍前首相在任中のスキャンダルと言われ、今も理不尽だと追及されている晩年の3つの不祥事件のひとつ、「桜を見る会」会計処理の不透明さが明かされそうだ。ホテル・ニューオータニのようなデラックス・ホテルで開かれた前夜祭の会食費用が、参加者ひとり当たり5千円という低価格自体理解に苦しむ。かねがね不審に思われていた会食費用の差額は安倍前首相サイドから支払われていたのではないかとの疑念に対して、前首相側は参加者がすべて支払っていたと言い逃れていた。それが虚偽の答弁だったということになる。安倍前首相は国会でも補填した事実はないと答弁していたが、差額を支払った領収証をホテルが作成していたことはないと言っていたが、実際に作成していたことが判明した。これにより東京地検は公設秘書から任意で事情聴取をしているが、政治団体の収支の記載を義務づけた政治資金規正法違反の疑いが出てきた。

 安倍前首相については、森友学園問題でも国有地払い下げに介入して不当に安く払い下げられたとの疑念を抱かれ、更にその決裁文書の改竄をして近畿財務局職員を自殺にまで追い込んだ。衆議院調査局の調べでは、2017~18年国会で事実と異なる答弁を139回も行っていたということまで分かった。

 また、加計学園問題では、同学園に格別の便宜を図って国家戦略特別区と指定された愛媛県今治市内に同学園岡山理科大学獣医学部を新設させた疑惑もある。

 いずれもこれまで野党や、弁護士団体、市民団体の抗議を無視して自分流の考えを押し通し、疑念を残したまま総理を辞任した。今新たに疑惑が暴かれて今後の行方は不明であるが、疑惑にそのまま蓋を被せて逃げおおせたと思われていただけに、特捜部にはこの際すべての疑惑を改めて洗い出し、逃げ得を許さず毅然と対処して欲しいと願う。前首相も晩年を汚すことになるのではないだろうか。

 それにつけても政治家に対する批判は、例え道理のある正論であっても彼らはリベンジや機会を捉えて仕返ししてくると聞いている。2年前に亡くなった元毎日新聞の岸井成格氏とその前年にペンクラブのパーティで立ち話をした時、テレビで発言したことについて官邸からその情報の出所をしつこく追及されると聞いた。東京新聞の望月衣塑子記者は、度々鋭い質問をするので、官邸から敬遠され質問は受けないと嫌がらせをされるなど、相変わらずメディアの発信に神経質なほど警戒されると官邸の対応に失望していた。

 偶々今朝の朝日紙上に、朝日新聞社の文書の開示請求に応えて、首相官邸の内閣広報室がTVコメント記録を開示した内容が載っていた。それによるとテレビのニュース番組やワイドショーの発言内容と発言者の名前が書かれていた。政府の見解に異を唱えれば、修正、訂正するようイチャモンをつける。これについて以前テレビ朝日「報道ステーション」コメンテーターだった共同通信社の後藤謙次氏は、「政府に批判的な報道に対応するための危機意識があるのだろう。記録をもとに政権から何かを言われても、番組づくりで忖度などしないという強い心構えが必要」と語っている。果たしてメディアは、政府の圧力に耐えて言うべきことを言い続けられるだろうか。我々もそういう姿勢を支援していきたいと思う。

2020年11月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com