4943.2020年11月23日(月) 首相の言う「自助」とは、国民を苦しめることか。

 菅内閣が発足してから早や2か月が過ぎた。安倍前政権の考え方と施策を引き継ぐと言って、菅氏ならではの個性溢れる政策は公表されていない。ただ、首相所信表明演説では「自助」「共助」「公助」を訴え、「自分で出来ることは、まず自分でやってみる」ことだと述べた。言葉尻を捉えれば、当然のことであり、学校教育でも教えられる基本的なテーマである。いかがわしいと誤解されかねないのは、首相は国民にまず自己責任を求めることであると言いつつ、本音は社会保障費を削減しようとの腹の内が見え隠れすることである。

 政府内に骨太の方針の下に改革を具体化するための成長戦略会議(議長・加藤勝信官房長官)が、このほど発足した。そのメンバーのひとりに小泉内閣で総務相、経済財政担当相などを歴任した竹中平蔵氏がいる。戦略会議では現在の社会保障を削減・縮小することを考えている。そこで中心となって動いているのがこの竹中氏である。かねがね言われていたのは、高齢者の社会保障費負担が将来世代にしわ寄せされるとの観点から、75歳以上の高齢者の窓口負担を現状の1割から2割へ負荷することが、内閣府、厚生労働省内で検討されている。その空気を意地悪く受け止めたのが、「自助」の発想である。

 ザックリ言って、竹中氏の考えは、現在の年金を含めて社会保障を削減、縮小したうえで、低所得者に毎月7万円を補助するというものである。その代わりにそれ以上の支出がある場合は、自分自身で働くなりして一本立ちせよということのようだ。年金をもらえなくして生活保護もしてもらえず、医療費補助も大幅に削られて高齢者はどうやってこの世に生き延びていくのだ。「公助」という発想はどこにあるのか。金の亡者でパソナ会長に収まっている竹中氏に庶民の気持ちは分からないだろう。どうも国民全員に毎月7万円を給付して、高齢者への年金や、生活保護者への費用をなくすことが出来ると考えているらしい。社会保障ということについて間違えて理解しているようだ。しかも、ある基準を超えた高額所得者には給付しないという現状の制度を根本的に破壊したうえで、国民を苦しめるためだけの政策としか思えない。こういう国民の生活面を考えない人物が、自らの抽斗の中にしまっていた理論を引っ張り出して国民に押し付けるのは、絶対に止めて欲しい。竹中氏も竹中氏だが、菅首相も菅首相で、自分で考えるのではなく、他人の褌で相撲を取って国民を苦しめようとしている。何が「共助」「公助」だ。

 さて、このところ明けても暮れても新型コロナウィルスから目が離せなくなった。「GO TO キャンペーン」が不安視されている中で、各地の観光地では「GO TO TRAVEL」に便乗したのか、コロナを気にしないのか、多くの人出があったようだ。4月の緊急事態宣言が発令された時に比べて、昨22日の各観光地では、観光客が片瀬江の島海岸198.8%、箱根湯本527.1%、京都嵐山779.9%、渋谷センター前107%、新宿歌舞伎町34.2%も増加する有様だった。この様子では、強制力のある宣言を発令でもしない限り感染者の勢いは衰えそうもない。

 世界に目を移すと大統領選後のごたごたでコロナ対策を後回しにしているアメリカが、感染者数、死者ともに圧倒的に多く他の追随を許さない。日本時間今日現在で感染者数は、1,224万6千人、死者は25万6千人である。世界では、感染者が5,864万9千人、死者は138万8千人に上っている。ワクチン開発の情報があちらこちらから入っているが、いつになったら具体的に活用出来るようになるか、まだはっきりしない。ひたすら「待つ」。

 ついては、今晩NHK「ファミリーヒストリー」という番組で、漫才「ハリセンボン」コンビの近藤春奈さんの家族の歴史を観ていたところ、父方の祖父は戦時中少年飛行兵だったが、戦後小田急電鉄へ入社して長後駅長まで務めたことを知った。昭和24年に入社して車掌などを務めた後、新宿駅助役を経て昭和49年に駅長に昇格したという。私が駅員をやっていたころにどこかで接点があった筈である。しかも同姓だったので、知っていればお近づきになっていたかも知れない。不思議な縁があるものである。

2020年11月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com