2660.2014年8月25日(月) 衣食足りて礼節を忘れる。

 今月の日経新聞朝刊の連載もの、「私の履歴書」は東大寺長老の森本公誠氏が執筆している。この方は仏教界でも最高峰の東大寺の最高位にもあるので、最初からむさ苦しい話が多いのではないかと思っていたが、とても単なる一僧侶の経歴というのではなく、音楽から宗教まで広範な分野に亘って解する傑出したインテリ人という印象である。京都大学在学中に音楽批評が音楽専門誌に掲載されたというから只者ではない。その縁もあって、世界的チェリスト・ヨーヨー・マが東大寺大仏殿内でチェロを演奏した。京都大学ではイスラム教を専攻し、カイロ大学に留学してその後京大大学院博士課程を終えた、仏僧らしからぬと言っては失礼かも知れないがイスラム教に精通したアカデミックな人である。

 いずれにせよ珍しい経歴を有する学者的僧侶である。その長老が1990年お水取りで大導師を務めた。その時長老は祈願文の諷誦文(ふじゅもん)の中で「夫れ文明のあくなき発展は巷に物を溢れしめ、人類を物資の豊かさに酔わしめしが、却って人心は潤いを失い、自然界は汚染に喘ぎて、今や地球を覆う環境破壊の暗雲は子々孫々をしてその生命存続に不安を抱かしめつつあり」と述べた。

 近年になって長老の言葉は、正に富んだ人々の金銭欲やモラルの欠如をズバリ言い当てているばかりでなく、原発然り、エボラ出血熱の感染についても先見の明の言葉である。今や日本中を襲っている土砂災害にしても、文明の発達によるマイナス、地球温暖化の悪しき影響のなせる技である。

 しかし、知恵者には分かっていても権力を握る人たちには、中々分からないものだ。

 気の重くなる話ばかりだが、こと昨日のスポーツだけは久しぶりに万々歳の結果を示した。競泳のパンパシフィック選手権で日本は過去最高の金メダル7個を獲得した。女子ソフトボールの世界選手権で日本チームは2年前の大会に次ぐ連覇を達成した。更に女子ワールドカップ大会決勝でブラジルに敗れはしたが、準優勝で銀メダルを獲得した。女子のバレーボールの栄誉は絶えて久しい。知らぬ間の慶事というところだが、まあそれでも景気の良い話なら気分はスカッとするものだ。

2014年8月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com