2665.2014年8月30日(土) A級戦犯を殉難者と考えている安倍首相

 昨日の朝日新聞「社説」を読んで、またかと思った。タイトルは「A級戦犯法要-聞きたい首相の歴史観」というものである。これまでとかく話題になり、中韓両国から批判されているのは、終戦記念日に安倍首相が先の大戦で尊い命を捧げられたA級戦犯を含む英霊に対して尊崇の念を捧げるとの主張一点張りだったからである。それでは、その尊い命は誰が起こした戦争によって落とすことになったのかと安倍首相に問いたい。A級戦犯の絶対的な言動によって一兵卒から民間人まですべての命が失われることになった。

 実は今年4月高野山真言宗の奥の院にある「昭和殉難者法務死追悼碑」の法要があり、首相は哀悼のメッセージを送っていたことが分かった。この碑は連合国による戦犯処罰を歴史上世界に例を見ない苛酷で報復的裁判だとして、戦犯の名誉回復と追悼を目的に20年前に建立されたものである。この碑に対して安倍首相は愚かにも「今日の平和と繁栄のため、自らの魂を賭して祖国の礎となられた昭和殉職者の御霊に謹んで哀悼の誠を捧げる」気持ちを表したのである。その一方で首相が靖国神社へ参拝する際、戦争で命を落とした普通の兵隊さんや、民間人に対して捧げる言葉とほとんど同じである。流石にコピペの安倍である。言うなれば、普通の犠牲者の霊を悼みながら、その一方で彼らを死に追いやった加害者とも言うべき戦犯の霊をも悼んでいる。朝日社説でも指弾しているように、東条英機ら14名のA級戦犯は極東国際軍事裁判において平和に対する罪を犯したとして有罪判決を受け、更に日本がサンフランシスコ平和条約を締結し、国際社会に復帰を認められたのは、これを受け入れたからである。

 安倍首相の言動は、いずれにも反対の意を表したことになる。首相の行為は世界の常識にも著しく反している。朝日の社説はこうも言っている。戦争指導者を「殉難者」とすることは、日本人として受け入れがたい。当然である。国民は戦争指導者、つまり戦犯を戦争指導した極悪人と考えている。安倍首相の腰巾着、菅官房長官は、首相の行為は私人として行ったものであり、論評するに当たらないと考えているようだが、このご仁もまったく分かっていない。こんな加害者と被害者を一緒くたに考えるような私人では、困るのだ。影響力のない普通人ならともかく一国のトップの地位にある人物がこんな非常識な行為を行い、周囲が知らんぷりではあまりにも鈍感に過ぎるのではないのか。

 朝日は、首相は堂々と自らの歴史観を語ってほしいと言い、首相にはその責任があるとも述べている。私も首相の本音をぜひとも聞きたい。

2014年8月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com