4889.2020年9月30日(水) アメリカ大統領選テレビ討論会始まる。

 上半期の最後の日、決算日である。1964年の9月から69年まで期末になると経理部門で帳簿とにらめっこをしていた。その頃はパソコンもなく毎日夜遅くなるまでソロバンを手に数字合わせをしながら残業していたものである。会社を出てから自宅へ帰り着くまで1時間半以上もかかったので、時には終電に間に合わず、近くの旅館に泊まったこともしばしばだった。厳しい時代だったが、今思い出すと妙に懐かしい。

 さて、昨日死者が百万人を超えた新型コロナウィルスは、今年1月に中国武漢市で最初の死者が出てから僅か9か月の間に、かくも多くの尊い生命が奪われたことから、21世紀に入って突出した人類史上の大事変と考えられている。かつて、疫病が流行して時代の人びとを恐れさせたことはあるが、今年のコロナほど急速に流行して人間の生命を奪い去る事象には、恐怖感を覚える。14世紀のペストでは5千万人以上、16世紀に流行った天然痘では5千6百万人が命を落としたという。更に、20世紀初頭のスペイン風邪の流行では、5千万人以上が亡くなった。その犠牲者の数は、第1次世界大戦の2千万人、第2次大戦の6~8千万人にも匹敵、否それ以上である。

 それにしても過去の大災難に比べて、科学も医学も急速に進歩した現代において、なぜこのようにウィルスの侵入を防ぎ根絶することが出来ないのだろうか。これは人間が生きて行くうえで一番大切な分野に、資金も研究も投資されていないからではないだろうか。宇宙開発、核開発など切羽詰まって必要とは見られていなかったり、人類を滅亡させる可能性の高い分野に国家の面子を賭けお互いに競合していながら、肝心要の生命尊重・維持に関しては、各国が真剣に考えていないということである。皮肉にも現在核を保有している国々は、現実にもコロナ犠牲者の数が多い。感染者数、死者ともにトップのアメリカをはじめ、インド、ロシア、フランス、イギリス、中国等を見れば分る。今年中には根絶するのは難しいと見られているが、もし終息したら今度こそ各国が真剣に今後の医療制度と対策について共通の理解を持ち、力を合わせて立ち向かうよう強く望みたい。

 ところで、日本時間の今日アメリカ・クリーブランド市で共和党トランプ大統領と民主党バイデン前副大統領によるアメリカ大統領選・テレビ討論会が行われ、全米、また世界中に中継された。これまでにないほど両候補者の非難合戦となり、次元の低い論戦に終始した。バイデン氏がトランプ氏を史上最悪の大統領と正面切って罵倒するや、トランプ氏は再三バイデン氏の発言を遮って司会者から度々注意されながらも無視する強引さに、これまでにない後味の悪さが残る子供じみた討論会となった。多くの人びとが観ているのだから、もう少し2人とも冷静になれないものだろうか。こんな調子では、真面な大統領が生まれっこない。

 冒頭司会者からテーマとして①お互いの過去の言動、②最高裁判事の指名、③新型コロナ、④経済、⑤人種問題と暴力、⑥不正のない選挙、などが示された。しかし、興奮した両人はわが道を往く有様だった。市民からはどちらも勝者ではないとの声が多かった。しかし、これは2人の大統領候補者だけがいけないのではなく、この2人をトップの座を争う地位にまで押し上げた「アメリカ第1主義」的アメリカ社会とアメリカ国民の考え方に問題があると思う。来月マイアミ(フロリダ州)とナッシュビル(テネシー州)でも行われるが、この次元の低いテレビ討論会が繰り返されるのだろうか。アメリカの未来が改めて心配になった。

2020年9月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com