4890.2020年10月1日(木) 史上最低のアメリカ大統領選テレビ討論会

 昨夕から今日1日中メディアでは、昨日行われたアメリカ大統領選の2人の候補者、共和党のトランプ大統領と、民主党のバイデン前副大統領のテレビ討論に関する厳しいコメントが伝えられていた。

 これは日本のみならず、当のアメリカ国内でも史上最低の討論会と非難されたように、誰が見ても評価のしようもないほどお粗末な討論会だったと思う。アメリカ大統領選の討論会という大イベントがこれほどまでに劣化し、子供じみたものであるとは誰も予想出来なかったであろう。例えこれまでのトランプ大統領の言動から推して、トランプ・サイドにはその兆候があったにせよ、バイデン氏側には想定外の泥仕合に巻き込まれてしまったとの後悔の気持ちがあるのではないだろうか。流石にこれは酷いと思った主催団体は、残る後2度の討論会では進め方を検討し、新措置を講じると表明した。

 とにかくアメリカのメディアからは、「敗北者はアメリカ国民」との声が出るほど酷かった。冒頭からバイデン氏の発言の最中に大統領が度々口を挟み、これにいら立ったバイデン氏が「黙ってくれ!大統領らしくない振る舞いだ」と言い、それでも大統領が割って入ると司会者が「STOP!」と声を荒げる場面もしばしばあった。大統領がバイデン氏を指して「過激左翼」とか、「頭が切れるようなところがない」などと言うと、バイデン氏が大統領を「人種差別主義者」「プーチンの子犬」「史上最低の大統領」とイタチごっこのように罵り合う次元の低いシーンが展開された。これほど世界が注目している中で、お互い功成り名遂げた相手に対して罵り合う構図は想像も出来ないものであり、1960年に初めて行われたケネディ氏とニクソン氏の討論会とは雲泥の差だった。

 案の定CNNテレビのキャスターは、「最早討論会ではない。恥をさらしただけで、今晩はアメリカ国民の敗北だ」と吐き捨てた。ニューヨーク・タイムズは「90分間の混沌としたやり取りで、現代のアメリカ政治では前例のないレベルの辛辣な侮辱を互いが示した」と指摘した。CBSテレビの世論調査では、勝者をバイデン氏としたのは48%で、大統領の41%を少し上回っただけだったが、CNNニュースではバイデン氏60%に対して大統領はほんの28%だった。討論会の感想についてはあまりの罵り合いに「腹が立った」と答えた人が、実に69%にも上がった。朝日夕刊の「素粒子」に「ジョークでもヤラセでもなく。アメリカ民主主義の劣化を、リアルに可視化した中傷合戦」と皮肉っていた。

 仮に日本でこのような事態が想定されたら、日本人としてはとても恥ずかしくて世界に顔向け出来ない。海外にも今後出かけにくくなるのではないかと感じるほど恥ずかしい印象を抱いた。

 アメリカ人とは民主主義をアピールする国らしくもう少し理性的で、公平で他人の意見や考えに耳を傾ける人たちだと思っていたが、反対されようが、止められようが、何が何でも自分の意見を強く主張するという利己主義と、我が儘を身体いっぱいに詰め込んだトランプ大統領を筆頭に相当我が儘な国民であるということが残念ながら少し分った気がする。あと2度のテレビ討論会では、もう少し真面目に議論を尽くして欲しいものである。

 さて、今日びっくりしたのは東京証券取引所が、9時の取引開始前から機器の故障からシステムに障害が生じたとして終日全銘柄の売買を停止したことである。同じシステムを使用する名古屋、福岡、札幌の各取引所も終日停止した。システムの異なる大坂取引所だけが通常通り取引を実施した。こんなことは初めてである。

 皮肉にも今夜は暦の上で「中秋の名月」の一夜である。今朝がたは曇っていたが、午後から空が明るくなり、夜になって2階のベランダに出て夜空を眺めてみると見事な円いお月さまが見えた。正に中秋の名月であり、芭蕉の2つの名句がふっと浮かんだ。

   「名月や 池をめぐりて 夜もすがら」

   「秋深き 隣は何を する人ぞ」

2020年10月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com