4886.2020年9月27日(日) アメリカを劣化させたトランプ大統領

 アメリカ大統領選が近づくにつれ、大国アメリカの弱点と劣化があらゆる面で浮かび上がってきた。民主主義のお手本のように言われたアメリカであるが、実態は正にその真逆で、民主主義の旗印である「民主」「自由」「平等」が、年々、否日々消滅しつつあることは、悲しいことである。民主性においてもアメリカはパワー・オブ・バランス(或いはバランス・オブ・パワー)の崩壊を曝け出している。

 特に、4年前トランプ大統領が当選してからアメリカの言動は、保守的になり、強引な行動で大きく変わった。極端に右寄り、保守的になったと同時に、アメリカ国内にアメリカ固有の社会問題を吹き出させて、国内のみならず世界中を騒がせる結果にもなっている。

 アメリカの本質的な弱点は、例え悪いことだと分かっていても、それを一向に解決しようとしないことである。典型的な似非人格の例は、人種差別と銃砲所持の2つに見られる。その背景には「アメリカ第1主義」がはびこっていることである。国造りの大きな担い手であった黒人・異人種を邪魔者扱いして人種差別化していることである。また、手に持てば危険であることが判っていなから銃の所持を認めているのも、西部開拓時代の自らの身は自らの手で守るとの頑なな気持ちと全米ライフル協会からの献金に大きく頼っているため止められないからである。古いしきたりに拘るのは、大統領選挙制度の仕組みにも残っている。多数決を謳いながら、1人ひとりの1票よりも多くの選挙人を獲得した候補者が勝利するという変則的な制度のせいで、それは仮に国民の半数の賛成を得ても否定されることがあるということである。

 実際4年前の大統領選ではヒラリー・クリントン氏が、トランプ氏より3百万票近くも獲得しながら選挙戦では敗れた。こういう多数決に反する制度を改革しようとの気持ちが今日のアメリカ人には些かも見られない。アメリカ人の心情は、基本的に保守的で利己主義的なのである。銃砲所持についても、銃砲の所持を禁じることによって大量殺人などの残虐な事件を防止出来るにも拘わらず、気持ちは西部開拓時代のままである。野放図な銃の所有を認めている国は、世界でも珍しい。アメリカ人というのは、今では善悪の区別がつかず、悪いことを抑止する能力がなく、反省心も欠けているのではないかと考えたくなる。

 国際的にも地球環境を悪化させる二酸化炭素の使用を抑制しようとの各国の声を、経済活動を低下させるからと二酸化炭素抑制には科学的根拠がないと一方的に無視し、折角結んだ協定から離脱した。科学的根拠を示さず行動するのは、むしろ最近のトランプ流のやり方なのである。また、トランプ大統領の選挙基盤であるキリスト教福音派を取り込むために、敢えてイスラエル寄りの外交を展開することにより国連で承認されているパレスチナ協定を無視して、イスラエルの首都を一方的にテルアビブからエルサレムへ変更し、大使館をエルサレムに移転させるなど、独自の見解でやりたい放題である。

 今アメリカ国内で大きな問題となっているのは、西海岸に拡大する山火事である。すでに東京都面積の7倍が焼失した。カリフォルニアの山火事は今や恒例となった。多くの生命、財産を失う自然災害にも拘わらず、根本的な防止対策がこれまでまったく行われてこなかった。宇宙開発も必要であるが、当面山火事防止プロジェクトでも興して生命、財産の損失を防ぐことを考えた方が得策ではないか。今月中旬に現地を訪れたトランプ大統領は、そのうち涼しくなるとして心配ないと語った。大統領がこんな無責任な発言を行うようでは、来年以降も山火事は絶えないだろう。これによっていくら貴重な財産を失うことになるか、愚かな大統領は考えたことがあるだろうか。

 先日リベラル派の連邦最高裁判事のギンズバーグ氏が87歳で亡くなった。その名前は寡聞にして知らなかったが、彼女は‘NATIONAL GEOGRAPHIC’8月号の特集「私たちの心の声が届くまで」の写真32人の中のひとりとして載っている。今年アメリカは女性が参政権を得て以来百年が経った。彼女はその中でそのために活動した人物として紹介されている。そのギンズバーグ氏の後任にトランプ大統領は、民主党の反対を押し切ってリベラル派ではなく保守派の48歳のエイミー・バレット連邦高裁判事を指名するという。これで一層保守化が進むだろう。更に理解出来ないのは、この最高裁判事といのは終身制であることで、判断力が衰えた場合、またその判断に国民から不満が生まれた場合はそれでも続けるということなのだろうか。アメリカの司法制度もおかしい。

 新型コロナウィルス感染者が世界で一番多いのも、大統領が暖かくなれば自然消滅するなどと無責任な発言をして初期対応が遅れたからである。

 とにかく、今日のアメリカは、国民が我が儘で非科学的なトランプ大統領に操られ、きちんと国家を安定的に管理する術に欠けている。こういう国と最良の同盟国として、「奉仕」している日本の将来はどうなるだろうか。

 さて、今日大相撲秋場所千秋楽を迎えて、関脇正代が13勝2敗で初優勝を遂げた。熊本県出身者で、また東京農業大学卒業者で優勝したのは、初めてである。めでたしめでたし。

2020年9月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com