今日の午後から夜にかけてトップ・ニュースは何と全米テニスで錦織圭選手がベスト4に進出したことである。優勝ではない。まだ準決勝進出である。それでいてこの大騒ぎである。
昨日は第2次安倍改造内閣発足で夜遅くまで気難しい特集を組んでいたのに、この豹変ぶりである。しかも世界的にはエボラ出血熱の蔓延、イラク北部の「イスラム国」の残虐な行為、ウクライナの戦闘、パレスチナ内戦、等々ニュースはいくらでもある。ただ、残念ながらこれらはみんな暗いニュースばかりである。
そこで明るいニュースを積極的に取り入れて報道したと言えなくもない。
錦織選手の準決勝進出は、実に96年ぶりだそうである。しかし、錦織選手にはこれまでの日本選手とは一味異なる力強さがある。「誰とやっても勝てないとは思わない」との発言は、かつての日本人選手には見られない自信たっぷりなものだ。2日後に行われる世界ランク№1のジョコビッチ(セルビア)との準決勝で真価を問われる。期待したいと思う。
さて、今NHK大河ドラマで「軍師官兵衛」を放映しているが、日経夕刊連載小説で火坂雅志「天下-家康伝」が時代的に同じころを描いている。2つを比較しながら読み解いていると中々面白い。ここで小説が先行したが、秀吉が日本海を渡り朝鮮遠征の描写となって攻め込んでいたが、苦戦し、結局退去するシーンになる。
今でこそ日韓関係悪化の原因として、①歴史認識と②従軍慰安婦問題が取り沙汰されているが、それ以前は実は、この秀吉の朝鮮出兵が当時の朝鮮の人々に強い反日感情をもたらせていた。今から40年ぐらい前に初めて韓国を訪れた時、韓国のあちらこちらで軽く反日的なことを言われた。それは豊臣秀吉が韓国で乱暴狼藉を働いたというものだった。その時は、その歴史的事実はもう大分昔のことなので、好い加減に勘弁してもらいたいと韓国のガイドさんに笑いながら謝ったことがある。今ではターゲットは秀吉から慰安婦に代わってしまったが、それでも韓国人の心の奥底には、大なり小なりずっと反日的な気持ちがあるのだということを感じた。それが、偶々昨今の新聞小説で当時の印象を甦えさせられたわけである。