現在安倍首相はアジア2カ国訪問旅行中だが、バングラデッシュに次いで訪れたスリランカから今日帰国した。歴代首相の中で目立って海外へ出かけている安倍首相だが、今回訪れた両国とも昔から極めて親日的な国である。バングラデッシュでは、日本の経済援助効果もあって今年期限の来る国連非常任理事国の座へ同国とともに立候補していたが、立候補から降りるというバングラデッシュの譲位もあってわが国が非常任理事国となるのは決定的となった。そしてスリランカも親日国である。これらの国はいずれも中国の経済侵食が強まっている。これから日本は親日国だった国々が中国の影響が強まるのをどうやって抑え込み、芯から親日だった国々を更に日本との交流を深めていくことができるだろうか。
スリランカの初代大統領だったジュニウス・リチャード・ジャヤワルダナ氏は日本にとって恩人とも言える人だった。1952年サンフランシスコで講和条約が締結された際、戦勝国は日本国土を分割するよう主張する利己的な意見が相次いだ。それに歯止めをかけたのは、当時セイロンの国連代表だったジャヤワルダナ氏だった。彼はこう言った。「憎悪は憎悪によって止むことはなく、慈愛によって止む」と。この正に慈愛に満ちた言葉が、戦勝国の言いなりになりそうな日本の窮地を救った。ジャヤワルダナさまさまである。それに引き換えわが国には、こういう慈愛溢れる哲学的メッセージを述べられる政治家は皆無である。
さて、現在2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、主要施設の改築が走り出している。中でも陸上競技のメインスタジアムである国立競技場が賛否両論の中で、取り壊し工事にかかった。そこで毎年12月に行われる早明ラグビーが会場として使っていた国立競技場が使用できなくなったために、東京ドームを使用するという馬鹿げた話が進んでいた。アマチュア・スポーツの権化であるラグビーの華の早明戦を、プロ野球の本拠地で行う節操のなさに呆れかえっていた。かつては行なわれていた本家の秩父宮ラグビー場ではどうして行えないのか。打算的な観客収容能力を計算したようだ。
とどのつまりは、秩父宮に決まった。東京ドームではポールを建てた場合危険だというが、あまり説得力がない。いずれにせよ、納まるべきところへ納まった。それにしても東京ドームへ持って行かなくても都内には他にいくらでもラグビーをプレイできるスタジアムがあるではないか。
森喜朗日本ラグビーフットボール協会会長は、早大OB会のメンバーでもある。どうしてこんな寄り道をしてしまったのだろう。折も折今日11月に開く予定の拙著出版記念パーティに森会長からご出席いただけるとのご回答を正式にいただいた。