4872.2020年9月13日(日) 大坂なおみ選手、全米オープン2度目の優勝

 大坂なおみ選手がテニスの世界4大タイトルのひとつ、全米プロテニス選手権で2年ぶりに優勝した。これほどの大きな大会で3年間に2度もトップに立つということは、その実力が今ではしっかり備わっているからであろう。大坂選手が今大会で特に注目を集めたのは、優勝もさることながら黒人差別に抗議するため近年理不尽にも惨殺された黒人の名前をプリントしたマスクを着けてテニスコートに登場し、人種差別反対をアピールしたことである。

 実は、先月29日の本ブログで私自身大坂選手の行動を非難した。全米プロ選手権に先立って行われた前哨戦で準決勝へ進出しながらも差別抗議のために試合をボイコットすると宣言した。しかし、その翌日まだ舌の根も乾かぬ間にボイコットを撤回したのだった。こんな好い加減な気持ちなら最初からボイコットすべきではないと、単に彼女は自分への注目を得たいがための行動を取ったのではないかと批判した。しかし、全米プロでは優勝までの全7試合に毎回犠牲者の死に抗議する彼女の姿勢は受け入れられ、現地でも高く評価されている。私の判断もやや早や合点で反省すべきかも知れない。ただ、大坂選手が心から差別反対を願い、今後もこの姿勢を続けて行くならその行動を評価したいと思う。

 さて、イスラエルとイスラエルの宿敵だったアラブの1国、バーレーンと国交正常化に合意したと、昨日アメリカのトランプ大統領が発表した。先月同じアラブのアラブ首長国連邦(UAE)がイスラエルとの国交正常化したことに次ぐ、イスラエルとアラブ諸国間の近年の雪解け第2弾である。いずれもトランプ大統領が仕掛けてまとめた。これまで団結を誇っていたアラブ諸国にもそれぞれお国の事情があり、その結束は少しずつ弛緩してきた。パレスチナとの団結を誓い合っていたアラブ諸国の間でも、原油安がもたらす財政的な問題がある。パーレーンの財政事情は赤字続きで、そこへ新型コロナウィルスの流行により原油の需要が大きく減少し、今年に入ってから財政ピンチが続いていた。バーレーンにとっては背に腹は変えられない状態だった。そこに目をつけたトランプ大統領がイスラエル側に寝返ったUAEに言葉巧みに投資をさせて助け舟を出させ、バーレーンとイスラエルとの国交に踏み切らせたのである。これをトランプ大統領は自らの外交成果として、親イスラエルのキリスト教福音派の支持基盤にアピールし大統領選を有利に導こうとする狙いがある。

 ただ、これによりパレスチナ自治区における前記2国に対する反発は強まり、反イスラエル感情は一層高まっている。8年前パレスチナを訪れた時、住民の反ユダヤ感情は極めて強かったが、今ではそれも一層強まったことだろう。そんじょそこらで起きている民族同士の対立とは異なり、ユダヤ人とアラブ人の抗争は紀元前にまで遡る。そう簡単に解決される問題ではないが、年々複雑化の傾向を見せていることが、解決の問題を更に難しくしているように思われる。

 特にトランプ大統領の身内に福音派の人物がいることもあり、テルアビブからエルサレムへアメリカ大使館移転などをやってちょっかいを出しては、この問題を複雑化し解決を遠のかせている。どこまでも人騒がせな大統領である。

2020年9月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com