明日スコットランドがイギリスから独立するかどうか、スコットランド住民による歴史的な投票が行われる。メディアでは昨日辺りからしきりにその可能性について侃侃諤諤の論評が行われている。独立の可能性はまだ五分五分で、独立反対派にとって独立派に彼らの独立を思いとどまらせられるかどうかは予断を許さないようだ。一時独立派が優位に立ったことからイギリス政府は、急遽キャメロン首相自らがスコットランドを訪れ、独立することのメリットよりもデメリットが勝るとしきりに思いとどまるよう住民を説得している。栄光の大英帝国も今や風前の灯となり、流石に政治的な発言がご法度なエリザベス女王ですら、スコットランド住民に対して良く考えるよう訴えている。
イングランドとスコットランドが連合国となってすでに300年が経過した。その結果としてイギリスの国旗ユニオン・ジャックは、2つの連邦とウェールズ、北アイルランド旗が重なってでき上がった。それが仮にスコットランドの独立となったら、ユニオン・ジャックはどうなるのだろう。そんな形式的なことより2つの連邦にとって、独立は経済面と安全保障面で決してプラスとはならない。この空気を懸念してイギリスの通貨、ポンドの価値が今日大きく下落している。それは独立となれば、イギリス政府はスコットランドのポンドを認めず、結果的にポンドの構成要因であるスコットランド離脱により、その分ポンド価値が下落するからである。早くも独立期待含みのポンド下落が先行しているようだ。
今イギリスにとって後悔を持って言われているのは、2012年イギリス政府とスコットランド連邦が独立の話が具体化した際、明日の住民投票を決定したことが、イギリス政府にとってはやや早計だったことである。その時自治権の拡大も課題として上がったが、イギリス政府は選挙で勝てると踏んで自治権について議論しなかったことが今になって悔やまれているのである。いずれにせよすでに賽は投げられた。明日の結果を待って、その後の対策を考える以外にイギリスにとってもスコットランドにとっても術はない。
過去に2度スコットランドの首都エディンバラを訪れ、いかにも歴史のある首都の落ち着きというものに感銘を受けたものである。あの小高い崖の上に聳えるように見えたエジンバラ城が懐かしい。外国人が他国の決定に口を挟むのは遠慮しなければいけないが、人権抑圧とか国民弾圧などがなければ、現状が壊れるのは何となく寂しい気がするものだ。