円安傾向に歯止めがかからない。このところ日に日に円価格が下がっている。今日は何と1$=106円台にまで進んだ。実に6年ぶりのことである。その大きな原因は、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)がゼロ金利政策を当面継続すると発表したことにある。このうえスコットランドがイギリスから独立したとなると、ポンドの価値が下落しドル高円安傾向も一層加速すると見られている。
このせいかどうか、わが国の8月の貿易収支は何と1兆円近い9485億円の赤字となった。貿易赤字は26カ月連続である。輸入量も若干減ったが、原油価格が上がったことが大きく影響している。つい最近も車にガソリンを補給したところ1リットル当たり165円だったので、驚いた。
今日日経平均株価は大きく上がったが、経済界全体としては必ずしも景気が順調であるわけではない。昨日ソニーが2015年3月期決算では2300億円の最終赤字を計上すると発表した。かつては斬新な新商品を次々と市場に出してはマーケットを席巻していたあのソニーが、スマホ、パソコン市場で苦戦を強いられ昔の栄光の影は見られない。そして、無配に転落、更に1000人の人員削減を追加で行うとも述べた。その影響でソニーの今日の株価は一時13%安まで落ち込んだ。かつては、友人の故曽田さんがニューヨークの公認会計士の資格を持ってソニーに誘われ入社したが、あの栄光はどうなってしまったのだろうか。一抹の寂しさを禁じえない。
それにしてもこれまで日本経済の一翼を担ってきた弱電気業界は、パナソニックにしても東芝にしてもあまりぱっとしない。東芝もソニーと同様国内外の工場で900人の人員削減を行うと発表した。
一般的には円安で輸出産業が伸びるとされているが、実際には自動車や電機産業を中心に輸出はそれほどの伸びが期待できない。経済は生き物とよく言われるが、シナリオに従えば、「円安=輸出伸長」と言われたが、実際にはあらゆる要因が混じり合い、6年ぶりの円安が現実には輸出効果を高めていない。
これについては、今日までのところどの経済学者もはっきりとした原因と解説をしていない。