4825.2020年7月28日(火) 悪評の「GO TOトラベル」の仕掛人

 今夏の天候は異常と言われているが、今月初めに九州及び西日本方面を襲った豪雨が、今日は新潟、山形県に大雨を降らせて日本3大急流のひとつ最上川が氾濫している。7月も残り少なくなってきたのに梅雨明けしたのは、まだ沖縄・奄美と南九州地方だけで関東地方の梅雨明けは8月になるという。都心の日照時間は平年の3割程度ということもあり、野や果物の値が跳ね上がり馬鈴薯の値段は、いつもの2.4倍だそうだ。この調子で行くと秋の米の収穫が心配されているらしい。こう毎日雨が降り続くと新型コロナウィルスの影響でオリンピックは1年延期されたが、もし開催されていたら毎日雨が降り続く中で国立競技場の陸上競技はどうなっただろうかと埒もないことを考える。今日は雨が降りそうだったので、ウォーキングに折り畳み傘を持って出かけた。

 さて、反対の声が多い中で22日から始まった「GO TOトラベル」が、案の定評判がよろしくない。新型コロナウィルスによって大きな打撃を受けたと思われる観光業界を支援しようとの政府の考えは分かるが、あまりにも実態を知らず、準備も不十分なまま見切り発車をしてしまったとの印象がどうしても拭えない。

 まず、国が資金を供出して事業を行う以上恩恵を受ける国民に不公平であってはならない。その前提条件が最初から崩れていることである。東京都を除外したということは、実際には同じ税金を納めている東京都民は利用できないということである。これでは東京都民に損失を与えるようなもので国がやるべきことであろうか。しかも直前までドタバタしていて、一時は千葉、神奈川県もその対象に含まれていたというから論外である。しかも最終的に千葉と神奈川両県が対象から外され東京だけが除外されたのは、菅官房長官の胸三寸で決まったという。政治家個人の裁量によって大金が使われ、一部の特権が生かされる。実施側にもプロジェクトの施行方がよく理解出来ていなかった節がある。事前に観光庁が観光業者に行った説明会で、質問を出されて即答出来たことが少なくなく、検討中とか分からないと応えていたという。我々のように旅行エージェントに勤めていた者ですら、手続きが大変だろうなと思うことがいっぱいある。

 そして、この「GO TOトラベル」のために使われる費用が実に1兆3千億円という巨額であるから驚きである。朝日の世論調査では実施に反対が74%で、日経では80%が早急過ぎるという。どうしてメディアの世論調査で圧倒的な反対があるこのようなプロジェクトを、普段は何もしない政府がやる気になったのか不思議なくらいである。そこには、何と影武者がいたのである。自民党観光立国調査会最高顧問にして、一般社団法人全国旅行業協会会長でもある自民党幹事長の二階俊博氏である。しかも二階氏は観光業団体から650万円の献金を受けていた。一種の受託収賄ではないだろうか。アベノマスクに5百億円も投じていながら費用対効果があったとの声も少ない。経済について弱い麻生財務相は、このプロジェクトについても理解出来ていないのではないか。この重大な時期に国会を閉会し夏休みを取って何もしない国会議員のみならず、安倍内閣の閣僚の中にもまともな発想で英断を下せる人物がいないのだ。これでは事態が好転する筈もない。

2020年7月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com