4760.2020年5月24日(日) 中国の強圧的行動と約束不履行

 昨日開かれた中国の全国人民代表会議(全人代)で、李克強首相が行った政府活動報告で反政府的な動きを取り締まる国家安全法制の整備に着手すると述べたことは、香港のみならず、世界各国へ大きな衝撃を与えたようだ。台湾、アメリカ、カナダへの移民のため手続き代行サービス会社への相談が増えて電話もつながらない状況だという。この国家安全法制にはアメリカが強く反対し、ポンペオ国務長官は一昨日「香港の立法プロセスと民意を無視する決定は、高度な自治を認めた返還時の約束の破滅につながる」と非難声明を発した。これは当然であり、国同士の約束を守らないのは許しがたいことである。アメリカが非難する以前に、返還協定に調印したイギリスがこの件について一言も発しないことが理解できない。イギリスとしては、中国に面子を潰されたわけであり、当然抗議して然るべきである。イギリスの無責任な点は、面子を潰されたことを黙って我慢している内はまだしも、それが他国へ悪い形で影響が及んでくることである。

 今世界中から問題視され、ミヤンマーがロヒンギャ民族追放により、民族浄化とまで非難されているロヒンギャ難民問題にしても、その原因はイギリスの旧ビルマ時代のミヤンマー国内へロヒンギャ民族を強制移住させたことがその発端である。戦後ビルマ独立後はビルマがどう困惑しようが知らぬ存ぜぬで一向に撒いた種を摘み取ろうともしない。知らん顔である。

 香港の「1国2制度」にしても、中国とイギリスが香港返還後50年間は制度を守ると約束したものである。一方的に中国が約束違反をしたことに対して、もはや利害関係がなくなったイギリスとしては、放りっ放しである。これでは国際間の信頼関係に傷がつく。どうしてイギリスは、中国にクレームをつけないのだろうか。勘繰りたくはないが、恐らくイギリスには中国との間に裏取引があるのではないだろうか。

 もうひとつ問題なのは、台湾問題である。李克強首相が行った活動報告の中で、中台関係に関する内容から「平和」の2文字が消えてしまったことである。台湾の蔡英文総統との関係が悪化しているせいもある。

 新型コロナウィルス感染拡大の影響もあり、中国も迂闊には動けなくなってしまった。しかし、世界保健機関(WHO)が中国寄りの情報を流布することについて、アメリカをはじめとして各国の間で不信感を掻き立てている。

 平和的な国際社会の連帯的関係の中で、今後中国はどう世界を納得させる言動を行い、大国としての責任を果たしていくのだろうか。暫く目を離せない。

2020年5月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com