2713.2014年10月17日(金) 特定秘密保護法は必要か?

 駒澤大学講座で菱山郁朗講師が「戦争と新聞メディア」と題して講義をされたが、戦争と新聞の関係、及びそれらの影響のひとつの実例として、新聞が日清、日露戦争について書きたてると販売数が急激に伸びたという統計実数を述べられた。日露戦争前に比べて戦後の各紙は、その販売数を3倍にも伸ばした。その一方で「萬朝報」が非戦論を展開すると「萬朝報」の販売数は大きく落ちた。黒岩涙香が起こした「萬朝報」社内で非戦論の論陣を張った中心人物が、クリスチャン内村鑑三だった。

 ところが、そんな本質的なことよりも私自身今日初めて知り驚いた事実は、その「萬朝報」の読み方が「マンチョウホウ」ではなく、考えてもいなかった「ヨロズチョウホウ」だということである。高校時代日本史で「マンチョウホウ」と教えられて以来、今日までずっとそれ以外の呼び方は知らなかった。確かゼミの教授も「マンチョウホウ」と言っておられたように思う。他にも疑問を持った受講者もいたが、菱山講師が以前勤めておられたテレビ局では、その呼び方が通例となっていたという。因みにネットで調べると確かに「ヨロズチョウホウ」が正しいようで、その名の謂われも「よろず重宝」の洒落から来たというから、創刊当時から「ヨロズチョウホウ」だったと推察できるが、それならどうして学校で間違えと言われる「マンチョウホウ」と教えたのだろうか。今の日本史では果たしてどう呼んでいるのか。今日の講義を聴かなければ、歴史考古学者になるつもりの来世でもこのまま「マンチョウホウ」と読み続けているだろう。その意味では菱山講師に感謝である。考えてみるとこんなていたらくでは学校教育も随分好い加減だと思う。これに似たケースは他にはないだろうか。

 さて、14日に「特定秘密保護法」法案が国会を通過して、12月10日から施行されることになった。防衛、外交、スパイ活動防止、テロ防止など55項目に亘る国家の安全保障に関する機密情報を漏らしたら、それを漏らした特定秘密を扱う公務員や一部の民間業者が最長で懲役10年の刑に処せられる。戦前のような国家の監視が始まるわけだ。それほど機密事項の漏洩が国家の安全を脅かすと考えられる時代になったのかと思うとぞっとする。

 そんな折も折、沖縄の普天間飛行場の使用期限が日米両政府でその言い分が食い違うという事実が明らかになった。11月の沖縄県知事選を前に仲井真知事が5年以内の普天間運用停止を政府に求め、菅官房長官が先月2019年2月以降の運用を停止することを知事に回答した。然るにアメリカ国防総省は日本政府から正式な要請はまったくないと冷たい反応である。事実は一体どうなのか。菅長官はきちんと答えるべきだし、どうしてこんな大事なことが両国で言うことが違うのだろうか。これは政府の言うことが信じられないということではないだろうか。こんな誠意のない杜撰な対応で、秘密を守ることなんてできるのだろうか。

2014年10月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com