4753.2020年5月17日(日) オリンピック開催追加費用は大丈夫か。

 新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、今年7月に予定されていた東京オリンピックが来年の同時期に延期されることになり、このところオリンピックに関する話題は影が薄くなった。1年延期されることにより選手、関係者、施設などにとっては新たな問題が出てきている。その中でも最大の問題は経費の増大である。ほとんどの使用施設は、従来の会場の他に新設した会場を今年は使用せずに来年も抑えなければならない。1年間延期されたことに伴うスタッフの人件費等々、予想できないほど過大な費用になりそうだ。現時点で追加費用は、概算で約3千億円と見込まれている。これに国際オリンピック委員会(IOC)を主に日本政府、東京都などが負担することになるが、国も東京都もコロナウィルスに予定していなかった費用がかかったため、追加費用を出しにくい。

 そこへ唐突にIOCが理事会を開いて、新たに最大約856億円を負担すること決めたとのニュースが流れた。これが事実とすれば日本に残り2千億円以上を追加負担することを求めていることになる。先月にもIOCは公式サイトに「安倍首相が現行の契約に沿って日本が負担する」と一方的に公表し、日本側の抗議を受けてIOCが削除した経緯がある。

 どうもIOCのやり方は根回しをせず、一方的に自分たちの考えを押し付けるので些かスポーツマンの組織としてはチームワークを軽視している。武藤敏郎大会組織委員長も寝耳に水だったようで、このような強引なやり方が今後も行われるならIOCとの交渉はよほど警戒しなければならない。

 貴族の懇親会的な集まりのようなIOCには、組織体としてのルールがきちんと整備されていないようだ。現在115人のIOC委員のうち、過半数の67人が欧米人で占められ、日本人委員は渡辺守成・日本体操協会会長と山下泰裕・JOC会長の2人のみである。しかも2人は委員になって日も浅い。これでは、日本側の思うようにはことは進まないだろう。

 昨日の朝日「多事奏論」で稲垣康介・編集委員が、政治力が求められるオリンピックに関して、山下JOC会長の存在感が薄いと厳しく指摘している。特に柔道選手として活躍した山下会長の静観が歯がゆい。もっと発信地から見せて欲しいと強く求めている。実際その通りで、山下会長の存在感はコロナウィルスのドタバタ騒ぎの中で埋没してしまいそうだ。

 とにかく今のままでは、日本はIOCにすべて先手を取られて「良いとこ取り」をされてしまうだろう。

2020年5月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com