4752.2020年5月16日(土) 新型コロナウィルスで米中の対立激化

 昨日5月15日は、昭和の大事件のひとつとして1932年海軍青年将校らが犬養毅首相を銃殺した「5.15事件」が勃発した日で、同時に1970年戦後アメリカによって施政権を奪われていた沖縄が25年ぶりに本土復帰が成った日でもある。

 残念ながら近年の傾向として歴史上一時代を画した事件が、いずれもメディアではほとんど報道されない。僅かに後者について昨日の朝日社説に本土復帰以来48年が経ったと紹介された程度である。沖縄本土復帰運動に若干関わっていた者としてちょっと寂しく思っている。これは新型コロナウィルスによる話題に席巻されたという事情だけで葬られたということではない。昨今昔の大事件であってもメディアがこれを振り返って報道すること自体少なくなっている。時には意図的だと思わないこともない。こうして多くの人にとって過去の歴史が記憶から遠ざかっていくことになる。

 5.15事件は、ちょうどニューヨーク株式市場で世界大恐慌が始まった直後でもあり、それが日本へ波及して農村を中心に日本全体が不況に追い込まれた時代に血気盛んな若者たちが大それた事件を引き起こした。現在の日本も新型コロナウィルスによる経済不況の中にあり、1930年代初頭と似た状況に近づいている。

 さて、その新型コロナウィルスが、今経済問題と並んで米中対立の大きな原因になっている。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が中国寄りの対応をしているというアメリカの指摘と、18日から開催されるWHO総会へ台湾のオブザーバーとしての参加を認めるか否かという点である。前者については中国・武漢市で発生したコロナウィルスの初期情報を中国政府が速やかに伝えなかったことと、それをテドロス局長が中国に忖度し、その後中国を訪問して習近平主席と会談までしている親密な関係をアメリカが強く非難した。実際当初アメリカはコロナウィルス対策への対応が遅れたことが、今日アメリカが世界最大の感染国になった所以である。

 後者については、アメリカをはじめ、カナダ、ニュージーランド、日本などがオブザーバーとしての参加に賛成しているが、中国政府は台湾が中国の一部であるとの旧来からの国家観から台湾のWHOへのオブザーバー参加に反対している。台湾は検疫強化やマスクの増産など独自のコロナ対策を展開し、昨日現在感染者は僅か440人、死者は7人に抑え込み、その取り組みは世界から評価されている。台湾の蔡英文総統は実績を強調し、世界に協力できるとしてWHO総会へのオブザーバー参加を要求している。どうなることか、健康問題に政治性が入り込んだ極めて好ましからざる問題である。

2020年5月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com