4662.2020年2月16日(日) 多年浪人は良かったのか、良くなかったのか?

 間もなく大学入試シーズンがやって来る。今年度限りで大学入試センター試験が終わり、来年度から新入試制度が導入される。今日の朝日朝刊「フォーラム 多浪ってどうなのよ」という全面特集を読んで多浪生のひとりとして身に詰まらされた。近年浪人生活の長い学生が国立大などの名門大学に増えているらしい。東北大学医学部には「風雪会」という3浪以上の学生が集うサークルがあり、8浪相当の幹事さんがいる。阪大にも「多浪の会」というのがあり、入会資格は2浪以上だという。また、東大には「多浪交流会」なるサークルがあるという。いずれも我々遥か遠い年代の多浪人には、ちょっと理解し難いが、我々世代がひたむきに大学入試だけを唯一のゴールとして受験勉強に取り組んでいたのに引き比べて、随分考え方も環境も変わったなと思う。

 2年浪人した私は、3浪は父のアドバイスもあり矛を収めることにした。現在の受験生は33%が1浪を認めている。2浪まで認めるのは30%であり、3浪以上になると1桁にまで下がる。それが、親の立場からすると1浪を50%、2浪を43%も認めるようになる。多浪は就職など社会へ出てから不利だと考えていても、娘が1浪することに60%、2浪には31%の親が認めている。やはり何とかして子どもには希望する大学教育を受けさせてやりたいとの切実な願いが表れている。我が家の5人兄弟妹のケースだと、1歳上の兄が1浪し、私が2浪、妹が1浪し、2人の弟が現役進学だったことは、このレポート上ではほぼ平均的だと思える。

 ただ受験生の気持ちとしては、「不合格を知ってから地獄にいるようだった。火で焙られているような感覚。悲しみに耐えるのに必死で、将来を考えることも出来なかった」と浪人時代の気持ちを語った大学生がいる。我々の時代以上に浪人生活に悩みながらも合格の栄冠を勝ち得たのはこのくらい強い意思があったからだと思うととても彼らには適わない。私は、そこまで追いつめられることもなく、ただ次年の合格を目指し、好きな読書もテレビも観ず淡々と受験勉強していたというのが実情だった。

 私は私立文系だったが、大学で登山クラブに入部したら周囲は浪人だらけで、2浪以上が大きな顔をしていた。今思い出しても年齢に関係なく、同学年を基準にして勉強も、クラブ活動も集中してやっていたように思っている。

 昨年度の18歳人口は118万人で、40年前の158万人から大きく減っている。ところが大学入学定員は30万人から61万人に増えた。結果的に浪人生は減っている。その中で安全志向の学生と、浪人して難関国公立大や、医学部を目指す受験生が多くいるという現実は何年経っても残っている。

 能力に合わせて無理をしない一方で、自分の能力の限りを尽くして難解な大学を目指すという選択肢が、今もあるのは頼もしく思う。問題は、昔に比べて学費がかなり値上がりして、更に地方から東京で下宿するならその経費がバカにならない点である。下宿生には1か月平均約13万円がかかるそうである。

 子どもを育てるうえに、その子どもを大学へ進学させたら当然かなりの出費が予想される。こと大学進学に関しては、表面に表れない難しい問題はいくらもあるようだ。

 なお、中国本土では新たに新型コロナウィルス(COVID-19)感染者142人の死亡が確認され、中国での死者は1,665人になったと発表された。

2020年2月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com