4627.2020年1月12日(日) 台湾総統選で中国に距離を置く蔡英文氏圧勝

 昨日台湾総統選挙が行われ即日開票の結果、与党民進党現職の蔡英文・総統が再選された。昨年前半は対中融和路線の国民党の韓国瑜氏が優位にあった。しかし、6月以降の香港の抗議デモが本格化してから、むしろ攻守所を代え蔡氏の支持は回復した。特に「1国2制度」をないがしろにする、非民主的な中国のやり方に警戒心を強めた若者層が、徐々に反中姿勢を強めたことにより空気が変わった。国民の関心も高まり、昨日は4年前の66.27%を上回る74.90%の高い投票率だった。有権者4人に3人が投票所へ足を運んだことになる。

 最終結果は蔡英文総統が、過半数を獲得してライバルの韓国瑜氏に圧倒的な差(蔡氏817万票・57.1%、韓氏552万票・38.6%)をつけ、総統選史上最多の得票で圧勝した。

 今回復活した民進党は前回選挙の際70%の世論の賛成を得ながら、その後蔡政権は支持を保てず、18年の統一地方選では惨敗して祭氏は党主席を辞任した。その当時民進党は、対中国関係では台湾独立色を抑えて中国を刺激しない安定を望む世論に配慮する狙いだった。しかしながら、対話を呼びかけた蔡氏に中国側は応えず、台湾独立派からは弱腰と突き上げられ、国民党からは混乱をもたらしたと批判され散々だった。学界の出で世間との間合いがうまく取れなかった蔡氏だったが、統一地方選敗戦後から姿勢を改め積極的に現場へ出かけ、住民と対話し、メディアの取材も積極的に応じるようになった。自ら積極的に行動し発信するようになった。そこへ香港の民主化デモが起きた。今回の選挙ではこの香港風にタイムリーにうまく乗ったように見える。とにかく完勝だった。一昨年統一地方選時の世論支持率は僅か25%だったが、直近では50%にまで盛り返した。

 問題はこれからである。習近平・中国国家主席は、昨年「1国2制度」による台湾と統一の姿勢を示した。それが香港情勢によりやや変わらざるを得なくなった。しかし、海外において「一帯一路」路線を広く実施しつつある中国としては、台湾をこのままにしておくわけには行かないだろう。蔡氏は中国も最終的には対話の道を開くだろうとやや楽観的に語っているが、そう簡単には行かないだろう。香港も思い通りにならず、ここへ来て台湾も言うことを聞かなくなっては、覇権国家中国としては面子もつぶれこのまま黙っているわけには行かないだろう。中国は、次なる手として果たしてどんな手を打ってくることだろうか。

2020年1月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com