4626.2020年1月11日(土) アメリカ・イラン対立によるトラブル頻発

 アメリカとイランが対立している最中、イラク国内の米軍基地に向けて発射されたイランの革命防衛隊のミサイルは、幸いにして米軍兵士にひとりも死傷者を出さなかった。そのためアメリカはこのミサイル攻撃に対して敢えて報復を行わなかった。だが、ちょうどその数分後テヘラン空港を離陸したウクライナ航空機が被弾により墜落し、176人が死亡した。イランが撃墜したのではないかとの憶測が伝えられたが、ザリフ・イラン外相はこれを強く否定していた。

 ところが今日になってイランの統合参謀本部が、ウクライナ機墜落は人的ミスによる誤爆だったと認めた。参謀本部が情勢に敏感になっていた矢先に航空機が革命防衛隊方面へ飛行したので、不注意にも誤爆したと語ったが、緊張感で張り詰めていた情勢が読み取れる。結局対立構造の中で負の連鎖により軍部以上に民間に犠牲者が生まれた事実を、両国とも十分考えるべきだと思う。

 ともかく張り詰めた緊張状態が、全面戦争へ踏み出さなくてホッとしている。

 さて、中東情勢が極めて流動的な折に中東3か国訪問を予定していた安倍首相に対して訪問延期の声があった中で、今朝首相は当初の予定通りサウジアラビア、オマーン、アラブ首長国連邦へ向けて出発した。ところが、生憎昨夜オマーンのカブース・ビン・サイド国王が亡くなられた。安倍首相は事前に訃報を入手した筈である。サイド国王は40年前に父親の前王を追放して即位した人物であるが、イスラム教宗派を問わないバランスの取れた政治を行い、周辺国からの紛争から距離を置き、オマーンを「中東のスイス」と呼ばせるまでに好感度を高めた国王である。国王自身はイバード派に所属するが、スンニ派、シーア派とも政治的なバランスを保っている。偶然とは言え、目的を持って訪れるなら、そんな国王が亡くなった直後に、弔問外交のように訪れて成果を上げられるだろうか。

 アラビア海域を航行する日本船舶の安全確保のための情報収集が目的とする、海上自衛隊の哨戒機も今朝沖縄を出発した。いろいろ正当な理屈をつけているが、どうも本来の目的ではなく、中東の緊張感が高まる中を戦時中の特攻隊の如く突っ込んでいくような危険なイメージがどうしても拭えない。

2020年1月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com