4619.2020年1月4日(土) アメリカ、イランの革命防衛隊司令官を暗殺

 かねてより険悪な間柄だったアメリカとイランの間に衝撃的な事件が起きた。イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官が米軍のバグダッド空爆により殺害されたのである。

 米国防総省は、「トランプ大統領の指示の下米軍はカセム・ソレイマニ将軍を殺害することで、在外アメリカ人を守るための断固たる防衛措置をとった」と誰を殺害しようと文句を言われる筋合いではないとばかりに、相も変わらない「アメリカ・ファースト」重視であることを発表した。さらに、「この攻撃はイランによる将来的な攻撃計画を抑止するのが目的だった」と付け加えた。イラクの首都バグダッドでは昨年の大晦日にアメリカ大使館敷地内に群衆が乱入し、米軍と衝突する事態が発生。抗議行動は元旦も続いた。大使館への襲撃はソレイマニ将軍の承認を得てのものだったとしている。

 イランのザリフ外相は、ソレイマニ司令官殺害を「きわめて危険で愚かなエスカレーション(情勢悪化)」だと呼んだ。「このならず者的な無謀な冒険主義による今後の展開について、全責任を負うのはアメリカだ」とツイートした。ラバンチ・イラン国連大使は「我々は目を閉じていられない。間違いなく報復する」と強く主張し、軍事行動も辞さないと語った。

 イラクのアメリカ大使館は滞在しているアメリカ国民に対して直ちに出国するよう呼びかけた。

 アメリカとイランは、2018年5月アメリカが、イランの核開発に関する国際合意から一方的に離脱し、イランに対する制裁を再開すると発表したことから対立が再発した。これは2015年7月に国連安保理事国にドイツとイランを加えた7カ国の間で最終的な合意に至ったもので、最大核保有国であるアメリカが国際合意から離脱することにより、効力が有名無実化してしまった。当然イランが反発し、爾来両国の関係は険悪の一歩を辿っていた。

 昨年11月結成されたアメリカ主導の有志連合は、対イラン包囲網構築を目指すアメリカに同盟国6カ国が加わって結成された。イランの友好国である日本は、アメリカの誘いには乗るわけにいかず、独自に海上自衛艦をアラビア海域へ派遣することで処方した。イランは有志連合に反発し、独自の安全確保構想を掲げて対立は一層深まる恐れがある。

 この暗殺作戦がイラク・バグダッド空港で行われたことで、イラクのアブドルマハディ首相は、駐イラク米軍の地位協定の重大な違反だとして「イラク国内での破滅的な戦争の口火を切ることになる」と警告した。アメリカ寄りだったイラクまで敵に回してしまう無節操な戦略と要人殺害計画は、考えてもいなかったイランとイラクを相手に戦火を交える流れにならないとも限らない。

 「アメリカ・ファースト」も行き過ぎると、アメリカ主役の第X次中東戦争にもなりかねない。

2020年1月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com