4618.2020年1月3日(金) レバノンにいるゴーン氏は?

 大晦日に日本から不法出国したカルロス・ゴーン前日産自動車会長がレバノンにいることが、情報として伝えられている。保釈中の身でありながら、大胆不敵にもプライベート機で法律を無視して日本から脱出した。

 今回の事件は、まるで探偵小説染みている。どうやって監視社会の中を抜け出し遥か中東のレバノンまで逃げおおすことが出来たのか、今のところ謎だらけである。レバノンはかつて私が訪れた第3次、第4次中東戦争前後はパレスチナ問題の渦中にあったが、今では存在感がやや失われている。保釈中とは言え、ある程度監視された状態で、しかも旅券まで検察に抑えられていた。驚いたことには、その旅券が4冊もあり、その内3冊は日本の検察に抑えられ、残る1冊は鍵をかけたケースに収められ本人が所持していた。それを出国の際使ったようだ。そのこと自体理解出来ない。それにしてもその鍵付き旅券で公的な出入国管理事務所を通過することが出来るのだろうか。仮にチェックされたら、その時点でゴーン氏だと判ってしまうのではないか。フライトも普通には理解し難い方法で飛行したことになる。現在経由地のトルコでは、パイロットとセキュリティ業者を含む関係者7名が身柄拘束されているというが、それにしてもどういうやり方で関門を潜り抜けたのか、今以て分からない。

 明らかに密出入国事件であり大きな国際問題であるが、逃げ帰った自宅のあるレバノンはゴーン氏から過去に支援を受けていた恩義があり、ゴーン氏を支援する意向のようである。2通の旅券を発行したフランス政府ももともとフランス・ルノーと日産の関係からゴーン氏の立場に理解を示していたこともあり、いずれも中立的な立場とは言えない。ただ、おかしいと感じるのは、いかに不満があろうともゴーン氏は日本国内では保釈中の容疑者であり、裁判で自らの正当性と意見を主張すると言っていたが、それを無視して密出国という大胆な法を犯す行動に出たことは許されざることである。また、法治社会において社会的影響力のある人物が、国際社会においてその掟を破ったことであり、これとてとても容認出来ることではない。

 そして昨日レバノンの一部の弁護士グループが、ゴーン氏を起訴するようレバノン検察当局に書類を提出した。しかし、それは今回の密出国とは無関係のイスラエル入国罪に関するものである。ゴーン氏が過去にイスラエルで開かれた経済関係のイベントに出席したことが、「イスラエルのボイコット」を義務付けたレバノンの法律に違反した理由だという。レバノン政府は、彼が裁判中の保釈の身柄であり、当然海外脱出は認められないことを認めて日本から身柄引き渡しの要求があったら、直ちにその要求に応じるべきであると思う。

 日本の捜査当局は、保釈条件に違反して海外逃亡した事件として国際刑事警察機構(ICPO)に国際手配を要請したが、当局自身も裁判所の保釈許可決定は緩すぎたのではないかと捉えているのではないだろうか。当分ゴーン氏周辺の動静から目が離せない。

2020年1月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com