ついにブラジルのルセフ大統領の弾劾裁判が決まった。これにより大統領は180日間職務を停止され、その間開催されるリオデジャネイロ・オリンピックで何の役柄も演じることができない気の毒な立場に立たされてしまった。もとより自ら招いた災いであるが、当人はむしろ開き直って反論している。弾劾裁判が決定されたことは、必ずしも大統領の不正を暴くことではなく、その裏には大統領派と反大統領派との確執があり、左翼的な大統領に対するアメリカ資本をバックにする反対派のクーデター的な動きがあるようだ。それにしても開会式に開催国の最高権力者である大統領が姿を見せないとは、昔はともかく最近では前例がないのではないだろうか。
そのオリンピック開催に当たり国際陸連元会長へ日本が東京招致活動のために賄賂を贈っていた疑いで、フランス検察当局が捜査を開始したというすっきりしない不名誉な事案が持ち上がってしまった。菅官房長官を始め、猪瀬前東京都知事は断固否定しているが、具体的に悪名高い元会長の銀行口座へ日本から2億円余が送金されたと言われている。今後この顛末はどういう推移を辿るのか、本当にこんな賄賂があったのか、嫌な話だが見過ごすわけにはいかない。どうも2020年東京オリンピック開催に関しては、ドジが多くて些かうんざりである。
こんなオリンピック関連の怪しげな話が聞こえだした矢先に、東京オリンピックのお膝元、東京都の舛添要一知事の高額な海外出張費問題と、常識をはみ出すような公私混同の疑惑について、今日午後週刊文春で詳らかにされた点につき調査の結果を報告、説明するための記者会見が開かれた。ずっとテレビでその会見の様子を観ていたが、結論から言えばまったく話にならない。闇と霧の最中にいるようだ。言い訳に終始し、都民に対して申し訳ないとの気持ちがまったく感じられず、これでは今後に問題を長引かせるだろう。こんな浅はかな考えでは、また同じような公費の私的流用をやりかねない。こんな人物が都知事とは情けない。
さて、夕方になって第200回記者・市民セミナー出席のため南麻布の韓国民団中央本部へ出かけた。小中陽太郎さんが講師を務め、小中さんからお誘いを受けたので、どんなお話しをされるか興味を持って出席した。メディアの影響力低下が懸念されている中で、昨今ヘイトスピーチ、ヘイトクライムは国際的にも日本の対応が注目されている。小中さんの演目は「日本の民主主義と言論の役割」と題するもので自身務めておられたNHKの危機、アメリカ映画から問題を取り上げた機密文書、パナマ文書問題などについて興味深いお話を伺った。タイムリーにも今日参議院本会議でヘイトスピーチ禁止法案(正式名:本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進に関する法律)が可決された。早々に在日本大韓民国民団中央本部・呉公太団長の談話が発表された。これで漸く日本の言論の自由もひとつのトンネルを潜り抜けることができたと言えよう。
セミナーを終えて韓国料理店で会食した後、麻布のバー・レストランでワインを嗜んで帰宅したのは夜中の12時を過ぎていたが、初めてお会いした韓国事情に詳しい人、浅草のホテル経営者、「赤旗」記者もいてかなりリラックスして楽しむことができた。