4558.2019年11月4日(月) 首里城はなぜ燃えたのか?

 先月31日に焼失した沖縄の世界遺産・首里城について沖縄県民はもとより、日本国内から惜しみ嘆き悲しむ声が上がっている。台湾から沖縄を訪れる旅行者は、感性が通じるのか、必ず首里城を訪れるそうである。首里城が世界遺産として認定されたのは、焼失した琉球特異の建物ではなく、世間には知られていない地下にある琉球の伝統的なお宝だという。従って建物の焼失によって世界遺産が登録を取り消されることはないようだ。

 しかし、なぜ火の気のない場所からこれほど大きな火災を起こす事態に至ったのだろうか。国宝であり、重要文化財でもある首里城にスプリンクラーさえ取り付けられていなかったということもショックである。火災原因として、分電盤のショートが挙げられている。事前に見回りでチェック出来なかったのだろうか。こんなことで貴重な国民の財産が跡形もなく消えてしまうのは、如何にも残念である。

 また火災発生に際して空からヘリコプターによる消火がまったくなかった。自衛隊への支援要請もなかったようだ。沖縄県と国との難しい関係の中で自衛隊ヘリが出動出来なかったとするなら、これほど馬鹿々々しい話はない。焼失した建物の価値が一瞬にして消えたのである。

 消火活動を心配そうに見守った住民からは「なぜ自衛隊のヘリコプターを使わないのか」と不満の声も上がっていたという。東京電力福島第1原発発火の際には、陸上自衛隊の大型ヘリコプターが上空から海水を投下している。那覇市にも陸自第15旅団が駐屯し、同じ大型ヘリも配備していたというだけに、これをどうして活用できなかったのか疑問が残る。

 これについて知人の軍事評論家・小川和久氏はツィッターでこう述べている。

 「まだ阪神淡路大震災の時の教訓に学んでいない。この記事にある旧態依然たる認識は24年前のものだ。沖縄県の担当者は私の『ヘリはなぜ飛ばなかったか』(文藝春秋)を読んでほしい」、「沖縄県は危機管理部門に自衛隊OBを入れるのにずっと抵抗していたが、いまはどうなっているのだろう。それに、自衛隊のOBと言っても空中消火を語れるのは航空科職種のパイロット出身者だけだ。その点は、多くの自治体もわかっていない」。

 幸い一般市民から、早くも2億円近い募金が寄せられたという。この国民の素直な声を受け止めて政府もいち早く再建に取り組んで欲しい。費用的にも時間的にも相当かかることだろう。恐らく私の生存中には再建は難しいかも知れないが、1日も早い復興を願っている。

2019年11月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com