4553.2019年10月30日(水) 緒方貞子・元国連難民高等弁務官亡くなる。

 セルビアから一時帰国中の山崎洋さんの多忙な間隙を縫って新宿の「ハイアット・リージェンシー東京」でランチをともにすることになった。ゼミ仲間の池田くんと赤松くんに加えて、京都大学経済学部在学中にゾルゲ事件を研究していた芳野健二さんに声をかけたら、ぜひにと言われ参加された。ゾルゲ事件の資料も持参され、ラグビー・ワールドカップの話題も含めて活発に話し合いに加わってもらい、大いに盛り上がった。

 昨日葬儀に合わせて公表された緒方貞子・元国連難民高等弁務官の死亡が大きく報道されている。10年間も国連内で難民問題のトップとして難民の実情を視察し、現場感を持って厳しい現場を度々見てこられた。5.15事件で暗殺された犬養毅首相の曾孫という家系である。アメリカ留学により語学が堪能で、行動力は国連内の評価も高く、国内でも文化勲章を授与されるほどの功績を上げられた方である。セルビアでもボスニア・ヘルツェゴビナ内戦時にNATO軍の攻撃に対して鋭い口調でNATOを非難していた。山崎さんからこっそり聞いた話では、緒方さんは現場に出ていたが、ほとんど国連によって動かされていたし、自分の意見をはっきり言ってはいなかったそうである。現実とメディアが伝える情報の間には、かなり乖離がある。しかし、緒方さん自身がどうして度々危険な地へ出かけるのかと尋ねられた時、即座に現場感を知らなければ、人を説得することは出来ないと応えられたことに大いに納得したものである。

 さて、すったもんだした挙句に先日イギリスのEU離脱の時期を、明日10月31日から来年1月31日へ延期することをEU委員会が承認した。その後イギリス国内がすぐ結論を出せるのか気になっていたところ、予想に反してイギリス議会下院でジョンソン首相が提案した総選挙実施を299対70の圧倒的多数で可決した。これは総選挙に反対すると思われていた労働党が賛成票を投じたことと、同時に多数の労働党員が棄権したことによってジョンソン案が通過したと言える。これで12月12日にジョンソン首相の信を問うことになった。

 それにしても随分長い間イギリスでは、政治が機能不全に陥っている。かつては世界中に植民地を支配して地球上の国土のほぼ1/4を占有した大英帝国の権威も、随分地に墜ちたものである。

2019年10月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com