4511.2019年9月18日(水) 独裁者の飽くなき権力欲

 政治家でトップの地位にまで上り詰め、長らくその座に君臨していると独裁者志向が強くなり、その地位を手放したくなくなるものだ。今や世界にもそれらしき人物がうようよしている。独裁者が社会主義のイメージには一番合わない筈だが、ソビエト連邦建国以来不思議にも自称「社会主義国家」に独裁者が輩出する。その末路は惨めなものが多いが、それでも疑似社会主義国で天下を取っている指導者には、独裁者のイメージが強い。

 一昨日の中国共産党理論誌「求是」に5年前の全人代における習近平・国家主席の演説内容が掲載された。それこそウソ八百だらけで、中国の国家主席のスピーチに相応しいと言えば言える。5年前習主席は何と宣ったのか。

 国の民主化は国家指導層が法に従い、秩序ある形で交代できるかどうかだと言いつつ、我々は指導的立場の幹部の職務の終身制を排除してきたと主張したそうである。中国は毛沢東・国家主席がこの世を去るまでその独裁制を許した。更に言えば、毛沢東は6千万人の国民を殺害した、世界最悪の虐殺者である。そんな毛沢東を亡くなるまでその支配体制を許していたのは、社会主義を主張する中華人民共和国ではなかったか。更に昨年習主席は国家主席の任期撤廃を決め、永久的に現在の地位に留まることを発表し憲法改定をやってのけたばかりである。国家主席就任当初習近平自身は終身国家主席については何も考えていなかったのだろうか。地位に綿々としている内に私利私欲が生まれて法や約束を破ってまでしても我欲を主張するようになったと言える。

 何もこれは習近平主席だけの問題ではない。ロシアのプーチン大統領も習主席に負けず劣らず、恥ずかし気もなく建前を捨てて私利私欲むき出しの権力者として権力を揮っているのだ。

 西ドイツ首相時代東西ドイツ統一を成し遂げ、その後ドイツ連邦共和国初代首相となり、在職16年間に亘って首相を務めたヘルムート・コール首相を評して、プーチン大統領は16年間の長期政権はやり過ぎと非難したのだ。ところが、そのプーチン大統領が2000年から2期8年間の任期を終え、憲法により一旦は腹心のメドべージェフ氏に大統領職を譲って本人は首相に退きメドベージェフ大統領を背後で操っていた。そして、メドベージェフ大統領の任期1期4年が経った2012年、大統領にカムバックした。その際任期を1期6年に延長し、2期まで務められるよう憲法を改定した。この結果プーチン大統領はよほどのことがない限り2024年まで現職に留まり大統領権限を行使することが出来る。このまま行けばプーチン大統領は通算20年もの長期に亘ってロシア大統領として君臨出来るのだ。こういう厚かましい所業を独裁者の我欲というより言いようがないが、ロシア国民は黙って見逃すより術はないのだろうか。恐らく泉下でコール首相も呆れていることだろう。これが、社会主義国家を主唱している国が行き着いた政治支配の果てである。

 他にも北朝鮮には金正恩・朝鮮労働党委員長という我が儘な独裁者が君臨している。ここも自称「社会主義国家」だそうだから、さぞやカール・マルクスも落胆していることだろう。

2019年9月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com