4497.2019年9月4日(水) メディアはもっとバランスある報道を

 戦後最悪の日韓関係対立のせいで、新聞はまだしもテレビは連日相当な時間を割いてニュースやエンタメ番組でこの事実関係の経緯を伝えている。日本では国会が閉会しているせいもあり、日本の政治より韓国の政治情勢を注視している有様である。今最大の話題は、日韓関係とは直接関係のない、文在寅大統領の最側近である法相内定の曺国・前大統領府民情首席秘書官の本人及び家族のスキャンダルである。あることないことを事細かに伝えたり、文大統領の見識のなさを取り上げたり、明けても暮れても韓国報道一辺倒の感がある。昨日は曺国氏が休憩を挟んで延々11時間に及ぶ一方的な記者会見を開いた。どこまで真実かは分からないが、国民にこれだけ疑念を抱かせたら普通の神経なら法相就任を辞退すると思うが、曺国氏はそうはしない。よほど法相の座にメリットがあると憧れているとしか思えないくらいである。

 肝心の文大統領は、アジア歴訪に出かけているようだが、それらの国々で日本との関係について立場を説明したり、韓国の対応に理解を求めているようだが、これに対して日本の元外交官が文大統領の行動はあまりにも国家のトップとして見当違いでセンスに欠けていると批判していた。

 あまりにも日韓関係が悪化したせいもあって、先日北方諸島で過激な武力行使を助長するような発言をして、顰蹙を買い、議員辞職まで求められた丸山穂高衆議院議員が、韓国の軍や国会議員が上陸した島根県・竹島について「戦争で取り返すしかないんじゃないですか?」などとまたも武力行使を煽るようなツイッター投稿をして物議を醸している。

 これには、流石に日本近海の台風情報とか、海外でもイギリスのEU離脱に関するジョンソン首相の対応、香港デモなどをもっと伝えるべきではないかとの声も出ている。

 日韓対立は現時点では終息の見通しが立っていない。昨日も訪韓した自民党国会議員が韓国首相から、日本の韓国に対するホワイト国除外の取り消しと引き換えに、韓国によるGSOMIAの破棄を取り止めたらどうかと打診されたようだが、日本側は日韓協定で約束した元徴用工問題の蒸し返しがそもそもの発端だとして、これを韓国が取り下げない以上受け入れられないと応えたというからお先真っ暗である。市民レベルでは相互に割合友好的だったにしても、政治レベルになると一向に解決に向かわない。やはり政治家のレベルは、市民のレベルより低いというのが、日韓共通の現象なのだろうか。

 こんなことで、世界中の注目を集めているイギリスのEU離脱と香港デモ情勢に目が向けられないうちに、イギリスでは昨日10月末EU離脱を延期する超党派案を今晩審議入りすることを決めた。これが可決されれば、首相は10月に議会を解散するとまで息まいている。

 同じく香港では、そもそもデモの原因だった逃亡犯条例の撤回を林鄭月娥・香港行政府長官が今日公式に表明した。まだ予断は許さないが、最大の課題が取り払われたことによって他に4項目提案している民主派の要望はどうなるだろうか。

 以上2つの世界的関心事が、日韓関係悪化の過剰な報道によって充分伝えられない懸念がある。メディア、特にテレビ局はももう少し目を見開いてバランス良く報道して欲しいものである。

2019年9月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com