4481.2019年8月19日(月) 「拝謁記」の内容の妥当性は?

 去る16日の本ブログに田島道治・初代宮内庁長官が、在任中600余回、300時間を超える昭和天皇との対話について書かれた「拝謁記」を取り上げたが、その後NHKのスペシャル番組としても放映された。初めて「拝謁記」が公表されたこともあり、話題としても興味深く多面的に内容を分析して、天皇及び天皇と接触した当時の首相との考え方や人柄を分析していて、それなりに興味をそそられるものだった。ただ、有りがちなことだが、その一方で今更大きく取り上げることについて、またその内容について批判的な意見も大分寄せられているようだ。かつて元レバノン大使のまま解職させられ話題となった天木直人氏の今日のブログにこう書いている。NHKが執拗に今後も報道を続けていると公表しているが、他のいかなるメディアもまったく取り上げていないことに首を傾げている。天木氏が特に問題としているのは、天皇が軍隊は必要だと告白したことである。更に芦田均首相は理論派だが、吉田茂首相は勘で動く人だと述べたことを取り上げている。

 更に歴史作家で徳島文理大学教授の八幡和郎氏は、一層厳しく批判している。八幡教授は、この資料自体は新発見とも呼べるが、「田島日記」はすでに公開されており、「『田島道治日記』を読む昭和天皇と美智子妃 その危機に」という解説書が2010年に出版されたと疑問を呈している。NHK番組では、この「田島日記」について触れていなかった。また、こうも述べている。天皇退位論は1948年で終わっていたと考えられていたのに、講和条約発効時にまだ議論が残っていたのが意外と強調していたが、河西秀弥氏の「講和条約期における天皇退位問題」という論文もあり、特に木戸幸一・元内大臣が1951年に意見具申して退けられていることもよく知られている史実であって、どこが意外なのかさっぱり分からないと疑問を抱いている。

 いずれにせよ我々国民が知らないトップレベルの機密事項が大分時間が経過したとは言え、公開されること自体は評価すべきであり、今後事実と噂の整合性をきちってやってもらいたい。そのうえで猛進気味のNHKが改めて疑問を抱かれないような内容で再放送してくれることを期待したいと思う。

2019年8月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com