4468.2019年8月6日(火) 74年目の「原爆の日」を迎える。

 人類史上初めて広島へ原子爆弾が投下されてから、今日74回目の「原爆の日」を迎え、午前中広島市内の平和公園で平和祈念式典が行われた。原爆投下時間の8時15分に追悼の鐘が鳴らされ、過日中距離核戦力(INF)全廃条約が失効した状況に、松井一実・広島市長は政府に世界で唯一の被爆国として、核兵器のない世界の実現へ向けてリーダーシップを発揮するよう求めた。これに対して安倍首相は核兵器禁止条約には触れず、核兵器国と非核兵器国の橋渡しをして国際社会の取り組みを主導していくと応えた。非核化へ背を向けるような核保有大国に対して、これからどうやって被爆者の気持ちに寄り添う交渉をやってくれるのか、目を離さないようにしたい。今年の式典には、過去2番目に多い92か国の代表が参列した。

 さて、このところ名古屋市内で開催されている「あいちトリエンナーレ2019」の展示のひとつ「表現の不自由展・その後」が、75日間の開催予定にも拘らず唐突に開催3日目にして中止に追い込まれ、政治も絡んで各界に波紋を広げている。いくつかの展示作品が批判の的となったことから問題が大きくなった。特に従軍慰安婦に着想を得た少女像と昭和天皇の肖像画が燃える映像の展示が問題視され、主催者への中傷・誹謗がひどく、結果として対応に苦慮したことが展示中止の最大の要因である。中にはガソリンを散布して着火するとか、テロ予告や脅迫と思えるようなメールや電話による抗議が相次ぎ、職員も身の危険を感じたというから抗議は相当激しかったと見られる。実行委員会会長代行の河村たかし・名古屋市長は、この展示の中止を同委員会会長の大村秀章・愛知県知事に要請して展示は中止されることになった。だが、問題はこれで片付いたわけではなく、表現の自由に釘を刺すものであるとか、憲法21条に違反するとか、知事と市長の議論の応酬になっている。これには国費が投入された経緯もあり、政治家が言論を抑圧するような発言もあったことが、騒ぎを大きくしている。

 テロ行為は問題外であるが、中止を要請した河村名古屋市長には本当の意味で「言論の自由」や、文化面でどこまで表現が許されるのかという点が分かっているのだろうか。後遺症が残りそうで、まだ当分トラブルを引きずりそうな予感がする。

2019年8月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com