4465.2019年8月3日(土) 核軍縮からむ米ソ冷戦時代の再来か。

 日韓対立が決定的になった。昨日日本政府が発表した韓国をホワイト国対象から外すとの措置に対して、韓国政府が無謀と猛反発して対抗策を講じると述べた。日本国内では冷静に受け止められているが、韓国国内では反発が強く日本商品不買運動が派手に行われている。この行方が今後どうなるのか現時点ではまったく見当がつかない。

 この他にも昨日世界的に歓迎されざる軍縮に逆行する動きがあった。米ソ冷戦終結の象徴だった米ロの中距離核戦力(INF)全廃条約が失効することになったのだ。同条約は東西対立の中で長い間米ソ両国による話し合いやら揺さぶり、駆け引きの末に当時のレーガン大統領とゴルバチョフ書記長の署名調印を得て発効され、当時世界中で驚愕的に歓迎された条約である。そもそもこのほど失効に至ったのは、オバマ米大統領時代にアメリカがロシアの新巡航ミサイルの射程は条約違反であると指摘したが、ロシアがそれに対応せず、今年2月にトランプ大統領が一方的に60日以内にミサイル破棄を求める最後通告を突きつけたものである。米ロの身勝手な戦略で世界中の平和愛好家を大きく失望させることになった。

 もうひとつこの条約失効の背景には中国の存在がある。この条約に縛られない中国は、INF発効以後の90年代からミサイル開発を加速させて最新鋭中距離弾道ミサイルの開発を進め、一部にはINFが禁止する射程に近いミサイルでは今やアメリカを質量ともに凌ぐと言われている。この中国の中距離ミサイルはグアムや沖縄などの米軍基地を射程内に収め、有事の際にアメリカ軍が中国周辺に接近するのを防ぐ戦略の中核になっているという。アメリカとしてはロシアばかりでなく、中国を加えた米ロ中条約の締結を目指したいところであるが、中国に軍縮を受け入れる気持ちがない現状では当分新たな核開発戦争が加速する一方だろう。

 このINFが結ばれる前年に意外にも日本が存在感を示す役割を演じたことがある。当時の中曽根康弘首相が、ヨーロッパでは中距離ミサイル全廃だが、アジア地域では半減させるとの暫定案に異を唱え、アメリカを説き伏せ、すべてに全廃とさせたことである。安倍首相もアメリカ従属主義をそろそろ止め、この失効に怒りを表している広島・長崎の被爆者らの声を汲み取って、中曽根首相のように日本の存在感をアピールするメッセージを発して、米ロ中の核保有巨大国を説得して核戦争の危機から逃れる手を打って欲しいものである。

2019年8月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com