4450.2019年7月19日(金) 近代経済学と相いれない異端のMMT

 昨晩NHK番組「日本人のおなまえっ 鉄道SP!」を観ていたら鉄道にまつわる名前特集だった。その中で1970年旧国鉄のキャンペーン「ディスカバー・ジャパン」が取り上げられていた。その説明役として何と現在一緒に共著書を書いている須田寛・JR東海相談役が登場された。そのキャンペーン効果により新幹線の個人客が大きく伸びたと言っておられた。共著の原稿はすでに再校して送ったところだが、この「ディスカバー・ジャパン」についてはまったく触れなかった。私の担当テーマ「観光のあゆみ」からすれば、やはりコメントすれば良かったと今更のように思った。間に合うなら書き加えたいと思い、取り急ぎほんの2行ほどの追加文章を出版社の担当者に送稿したところである。来月下旬に発行されるので、ぎりぎりの追加原稿だったが、間に合えばハッピーである。

 さて、近代経済学の経済原理を変えかねない経済論が今注目されている。つい最近知ったのだが、ニューヨーク州立大学ステファニー・ケルトン教授が発表した異端の理論が注目を集めている。この理論はMMT(Modern Monetary Theory)と呼ばれているが、教授は財政赤字は悪でも脅威でもないと喝破して財政赤字の拡大を容認する立場を取っている。主流派経済学者から異端と評される所以である。我々が大学で経済学を学んだ際、負債も資本と合わせて資産であると学んだが、現実にケルトン教授は国の債務は資産であり、富の一部で積み上げても問題はないと言い、反って予算の制約がなくなり、教育や社会保障を充実できるとアピールしている。

 日銀が大規模な金融緩和により国債を大量に買うことも問題ないとしている。財務省が何とか財政収支をバランスよくして、財政赤字を削減しようと考えていることについてケルトン教授はどう考えているのだろうか。国際通貨基金(IMF)は財政再建を強く求めるが、教授はIMFは予算を優先させて各国民の生活を破壊してきたと反論している。

 昨日閉幕した主要7か国(G7)財務省・中央銀行総裁会議では、フェイスブックが計画している仮想通過(リブラ)に対して規制などを話し合っていたが、リブラが中央銀行の制約を潜り抜けて自在に発行されたなら、世界的なインフレ現象が起きて経済不安が募るのではないか。それもケルトン教授の予算支出に無制限な考え方と似ているような気がしている。

 考えてもいなかった論理が突然表れると、そのうち付いて行けなくなるのではないかと心配になる。つくづく難しい時代になったなぁと思う。

2019年7月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com