4442.2019年7月11日(木) 人類の祖先ホモ・サピエンスに新事実

 今日の朝刊記事のうち、ギリシャでユーラシア大陸最古のホモ・サピエンスの頭骨化した石が見つかったとの記事には些か驚いた。これはイギリスの科学誌「ネイチャー」に発表された情報である。頭骨化した石は1970年代にギリシャ南部の洞窟で見つかったもので、今回改めて調べた結果、これまでホモ・サピエンスがアフリカを出てユーラシアへ移住したのは5~6万年前との説が有力だったが、その通説を覆すように約21万年前のものと推定された。ホモ・サピエンスは、約30万年前にアフリカ大陸で生を受けた地球上最初の人類といわれているが、その後アラブ、ヨーロッパを経てアジア、オーストラリア、アメリカ大陸に移住していった。ギリシャで発見されたホモ・サピエンスが、これまでの通説より古い時代のものだと分かったことで、ホモ・サピエンスがアフリカから移住したのは巷間考えられていた時代よりもっと古い時代だということが明らかになった。

 太古の時代の史実というのは、文字化された資料があるわけではないので、調査が精密化すればするほどそれまでの事実が書き換えられる可能性がある。

 偶々先日脱稿した共著の「観光のあゆみ」の項にこのホモ・サピエンスについて若干触れた。アフリカを出てアラブからアジアへ至る人類の旅について記したものだ。古代史や文学上の古代文学に興味を抱くと思いがけない想像の世界に引き込まれるところがある。

 例えば、アフリカに生まれたわれわれ現代人の祖先が旅をして、アラブへ渡り、マルコ・ポーロの「東方見聞録」で紹介されているようにアジアへやって来た。そして3つの日本列島への渡来ルートとして考えられる北方、朝鮮、南方のうち、南方ルートの丸木舟による台湾から与那国島へ渡る実験的トライアルが、一昨日成功したばかりである。

 また、日本に渡って来た渡来人の後裔である大和民族のひとり、歌人紀貫之が「土佐日記」に高知から京都までの旅について書いている。これまで読んでいなかった「土佐日記」をこの機会に通読して、随分新しいことを知った。土佐から陸路を鳴門まで歩いて、瀬戸内を舟で渡り大阪から京都まで歩いたと信じ込んでいた「土佐日記」の旅が、何と土佐から京都まで海を渡り淀川を遡り宇治川を舟で上京したとはついぞ知らないことだった。それ故日程が天候や荒波に大きく左右されたことも知った。また、同時に拙稿で取り上げた京都から鎌倉までの旅を書いた阿仏尼の「十六夜日記」も読んでみたくなり、昨日アマゾンに注文したところである。「十六夜日記」という書名も後世の人が名付けた。そこにはロマンが漂っている。少し読書のジャンルについて考え、これから読む書物もロマンチックな中世物にトライしてみようかと考えている。

2019年7月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com