4410.2019年6月9日(日) 保護主義のアメリカは世界の疫病神

 関東地方も梅雨入りした。今日は朝から時折小雨交じりの曇り空で肌寒い。昨日から今日までこの梅雨時に日本で2つの国際会議が開かれた。各国の閣僚が梅雨空のような気持ちで参加しているのではなかろうか。20か国・地域が参加したG20 だが、茨城県つくば市で主要経済閣僚会議、福岡市では財務相・中央銀行総裁会議が開かれた。最大の議題は、米中貿易摩擦とアメリカの保護主義がもたらす世界経済に対する大きな下方リスクである。多国間協定ではなく2国間の話し合いを迫るアメリカの保護主義的対応から貿易摩擦の激化について、多くの国々から懸念の声が高まっている。

 結局どちらの会議の共同声明にも、トランプ政権への配慮から「保護主義に対抗」との文言が入らず、G20の権威は弱くなるばかりである。

 米中間の摩擦の行く末が誰も読み切れず、通商紛争が世界経済に影を落とす中で、主要国は景気下支えのため金融緩和の方向へ向かっている。新興国では利下げに踏み切り、アメリカ連邦制度理事会も利下げを視野に入れ始め、ヨーロッパ中央銀行は、予定していた利上げを半年間先送りする方針を決めた。

 米中間の緊張と同時に、過日トランプ大統領がメキシコからの不法移民問題に絡めて、メキシコからの全輸入品を対象に追加関税5%の発動を表明したことが、メキシコのみならずメキシコで製品を製造しアメリカへ輸出している日本の自動車産業やヨーロッパの企業を心配させていた。自動車業界では、部品供給のためにメキシコとアメリカの両国国境を何度も行き来するためにその都度税金がかかっており、そのうえ追加課税されれば、そのコスト莫大なものになる。これはアメリカ経済にも大きな打撃であり、全米商工会議所など経済団体は強く反対している。その発動をトランプ大統領は、昨日メキシコが移民対策を講じることに同意したとして見送ると発表した。日本の自動車業界では振り回されながらもホッとしているようだ。

 それにしてもトランプ大統領は、こんな重大な問題をツィッターでいとも簡単に公表しているが、これでは議会も要らないのではないかと思ってしまう。少々軽々に過ぎるのではないかと思う。

 今月28、29日には大阪でG20 サミットが開かれるが、ここでもトランプ大統領に忖度して、「保護主義」に言及しないと見られている。しかし、これでは各国の首脳が集まって会議を開く意味も目的も薄くなるのではないだろうか。どこまでも世界の秩序を乱す厄介な男・トランプ大統領である。

2019年6月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com