2829.2015年2月10日(火) 安倍首相が奮う「蛮勇」

 安倍晋三首相という人はみかけに依らず、案外大胆なことをやる人だ。尤も怖いもの知らずということもある。この数日は連日メディアを賑わしている農協改革問題で手腕?を発揮した。自民党は戦後ずっと日本農業の舵取りをしてきた農協を改革することを岩盤規制改革の象徴として制度、組織を思い切って変革し、3番目の矢としてやり遂げる気構えだったのである。

 これまで農協の制度が手つかずだったのは、農村票を武器に発言力を持つ農協のトップ組織、JA全中(全国農業協同組合中央会)に遠慮があったからである。だが、今や農業人口は激減し、最盛期の6割程度が就業と言われている。アベノミクスを完璧に成し遂げる環境が整ったこの機会に、安倍政権は永年腐心していた農協対策をドラスチックにやってしまおうと考えた。昨年行われた佐賀県知事選挙で、農協改革派の候補者が与党の応援を受けながら落選したことで自民党は大きなショックを受けた。だが、地方の組織は残すことで妥協点を見出し、その一方で上部組織のJA全中の形骸化にまんまと成功した。自家薬籠中のものにしてしまったのである。

 とにかく現在の制度、組織を大きく変えて、JA全中の指導権をもぎ取り、4年後には一般社団法人にしようというのである。周囲の環境が好転したとは言え、安倍首相の間髪を入れない強気なパフォーマンスには驚く。怖いのは、次のステージとして首相の腹に集団的自衛権、そして憲法改正が潜んでいることがミエミエであることである。農協改革と同じように、エイヤッとばかり突き進んだら、来夏参院選の結果で参議院でも与党議員が2/3以上を得たら、正面から現行憲法改正へ歩を進めるのではないか。その前提として、若い人の票を獲得すべく、現行の20歳以上の選挙権を18歳に引き下げようと下工作をしている。

 怖いのは、相対的に物事を知ったうえで行動するより、知らないまま行動してしまうことである。安倍首相は明らかに後者である。

2015年2月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com