4319.2019年3月10日(日) 74年前の今日東京は大空襲に襲われた。

 明日の東日本大震災発生8年目を控えて、東北地方を中心にドキュメンタリー風にテレビや新聞で復興への道のりを伝えている。犠牲者は死者、行方不明者を合わせて2万人を超えるというから、昭和以降では最大の犠牲者を生んだ大災害である。昨日安倍首相が被災地を訪れ、犠牲者を慰霊した。震災本番の明日は東北地方全域に亘って犠牲者への追悼式が行われると思うが、復興はまだ途上にあり、5萬人以上の人たちがまだ仮設住宅に住んでおられる。特に気がかりなのは、津波による被害もさることながら、東電福島原発の事故収束までまだかなりの時間がかかることである。

 一方で74年前の今日は東京大空襲があった日で、10万人の東京都民が一瞬にして命を失った。ところが、この東京大空襲については、今日の新聞には一行の記事も見られず、またテレビでも一切触れられなかった。この現状から考えると子どもたちは多分学校でも習うことはなさそうだ。彼らは今日の呪いの日を覚える機会を失っているのだ。東京大空襲は東日本大震災を遥かに上回る犠牲者を生んだ。その東京大空襲を知らずして良いのだろうか。数年前まではメディアもしきりに取り上げていた。それが近年取り上げられることが少なくなった。これは、2・26事件も同様である。日本の歴史を左右した史上に残る大きなトピックスが年々風化して記憶から忘れられていくという単純なことではないと思う。これはメディアが厳しく忘れてはならない過去の記録を、恣意的に記憶から遠ざけようとしているように思えてならない。近ごろの若者の中には、太平洋戦争開戦記念日と終戦記念日を知らない若者がいるというウソのような話を聞く。しかし、現在のようにこんな日本にとって大事な記念すべき日をメディアが伝えないようでは、いずれ日本人は開戦日も終戦日も、下手をすると太平洋戦争を戦ったことも忘れてしまうのではないだろうか。

 奇しくも今日はチベット動乱が発生してからちょうど60年になる。それ以前に中国は軍隊を使ってチベット民族に弾圧を強めていたが、この日ダライ・ラマ14世を観劇招待と称して拘束しようとした中国軍隊をチベット民衆が取り囲んで不可能にしたことから暴動となり、その後ダライ・ラマはインドへ逃れ、約8万人のチベット人が彼に従ったと言われている。インドへの避難チベット人たちは、今日中国政府に対して人権弾圧に対する反対声明を発表したが、これに似た記念的なことは日本でも在日チベット人によって実施された。それに引き換え、日本では歴史的なエポック・メーキングな事象をいとも簡単に捨て去る現状は、実に嘆かわしく感覚が鈍くなっているのではないだろうか。

 恐るべきことである。

2019年3月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com