4297.2019年2月17日(日) 最近の若者の文章力について

 最近文部科学省の何人かの担当官が、高校国語教育の「学習指導要領」の変更について説明するために、日本ペンクラブ事務局を訪れて2時間ばかりペン執行部と話し合いを持ったことが、一昨日の理事会で報告された。阿刀田高元会長が「文芸春秋」1月号に「高校国語から文学の灯が消える」と題した寄稿文を寄せ、文科省が2022年度から施行する「学習指導要領」の中身を懸念して書かれた文について、ペン理事会で話題にしたことを聞き及んだからかも知れない。阿刀田論文は高校の教科から文学が消えるのではないかと悲観的に捉えた論文である。その文科省との話し合いの中身について詳しくは説明されなかったので、充分理解出来たわけではないが、国語授業の中で文学を選択科目にするような話の内容だった。授業では文学作品を教材として取り扱わず、入試問題に対応出来る授業を志向しているようである。その後理事会でこの点、つまり文学が国語の授業から遠ざけられる点について若干意見が交わされた。やはり、文学者の集まりであるペンクラブとしては、高校時代に文学について正面から向き合うことをしないで高校国語の授業を終えることに抵抗感があると思った。

 また、それとは別の話だが、私は兼ねがね一般的に言われている若者の国語力の低下、文章力の劣化は、スマホなど機器類の過度な使用による弊害だけではなく、日常的に文章を書く機会と訓練が不足していることが原因ではないかと思っている。我々の小学生時代に国語教科の中に「綴り方」という授業があったように、出来るなら今日の国語教育の中にも「綴り方」を復活させることが文章力を培うためにも大事なことだと思っている。

 一昨日のペン例会の場で、朝日記者だった轡田隆史さんと話をしたが、文章力の低下は一般の若者に限らず、新聞社の若い記者も同じだと言っておられた。文学作品を読むことが少なくなり、文章を書く機会が減り、また実用的な文章を書くことのみが優先されて、本来の力強く説得力があり、読者に感銘を与える文章を書くのには、日常生活で若いころから文を書く習慣を身につけることが大切だと思っている。

 拙いながらも文章を書くことが今では毎日の習慣になっているので、その点は自分自身佳しとしているが、果たして他人が読んで心に響く良い文章だと思ってくれるかどうかは何とも言えない。僭越であるが、今取りかかっているノン・フィクションもそういう意味では、何度も目を通して恥ずかしくない作品にしたいと考えている。

2019年2月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com