4268.2019年1月19日(土) 沖縄県民投票に5市が不参加という異常事態

 辺野古米軍基地移設計画について沖縄県内では圧倒的に反対が多いと考えられ、それは昨年9月に行われた県知事選でも反対を訴えて新知事に選出された玉城デニー氏過半数を得票したことでもはっきり示された。勢いに乗って新知事は、「辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う」県民投票を行うことを決断し、来月24日に投票が行われることになった。玉城知事による県民の移設反対の意思を明確に示したいとの決意の表れと思われる。

 ところが、早々と県民投票をしないと宮古島市長が表明した。それに続いて宜野湾、沖縄、石垣市などの各市長も県民投票をしないと公表し、更に昨日うるま市長も県民投票不参加を表明した。さらに増える自治体も考えられる。しかし、現時点で県内11市11町19村のうち、大都市5市が県民投票を行わないとすれば、沖縄県民有権者の3割強が投票に参加出来ず、自らの賛否の意思表示を封じられるということになる。

 そこには、複雑な事情があるようだが、ここへ来て自民党の自治体に対する忖度、圧力が効果を上げたのではないかとの風聞が飛び交っている。しかし、狭いながらも地勢的には異なる気風のある島には、それぞれ自治体によって異なる独自の事情があるようだ。例えば、すべて県民は基地問題には反対するオール沖縄の考えがある一方で、実際には基地と離れた地方では米軍基地問題への関心が薄く、投票率も低い。中には基地問題にまったく関心がなく、関わりたくもないという県民も少なからずいると聞く。本土の人たちもまた同じような思考傾向があると考えざるを得ない。また、県民は反自民と考えられがちであるが、実際には県内に保守層がかなり多いという現実がある。県民投票にかかる費用はすべて県が負担するので、それを実施する市町村にとっては経済的負担にはならない。もちろん投票を忌避する自治体の中には県民投票に参加できないことに強い不満を覚えて、中にはすでにハンストを行っている若者もいるようだ。

 大きな問題として不参加の5都市の有権者にとっては、自分たちにとって切実な問題の選挙への参加を封印されることが、ひとつの言論の自由を封じることにつながり、憲法違反にならないかという問題である。

 県民投票まで余すところあと1カ月余である。真の県民の意思表示には必ずしもならない恐れのある現状をどうするのか。果たしてこのまま全県民が納得出来ない県民投票へ突っ走るのか。米軍駐留と日本政府の対応のうえに苦悩させられている沖縄県民にとって、また新たな難問が突き付けられている。

2019年1月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com