4265.2019年1月16日(水) 横綱稀勢の里の引退と先輩・脇村春夫氏の野球殿堂入り

 昨日懸念したように横綱稀勢の里は、今日記者会見を開き引退することを発表した。今日の夕刊でも夜のニュースでもトップ記事である。32歳でまだまだ横綱の地位を全うできる力を秘めていながら、周囲のプレッシャーに負けて土俵から降りることになった。本人の気持ちの中には忸怩たるものがあるだろう。これまでもプレッシャーに押され、肝心な場面で負けたケースが散見される。それが証拠には、連続4場所準優勝に終わったり、準優勝は10回程度成し遂げている。中々トップを取れない。性格的に真面目で思い詰めるところがあったことが勝負のうえで致命傷になったのかも知れない。引退後は年寄「荒磯」を襲名するそうだが、純粋で真面目な人柄だから、きっと立派な弟子を育ててくれることだろう。

 さて、昨日長年プロ野球界で活躍した元プロ野球選手に授けられる栄誉である今年度の「野球殿堂博物館」入りが決まった。選ばれた2人のプロ野球人は、いずれも元中日の権藤博投手と立浪和義遊選手である。権藤投手は私と同年齢で入団1年目にして、35勝で最多勝、新人賞、最優秀防御率賞、澤村賞など投手部門の賞を独り占めした。監督としても就任1年目で現在の横浜ベイスターズの優勝に貢献した。しかし、私にはもうひとりの同姓、権藤正利投手の方が忘れられない。最優秀投手賞、新人賞など数々の実績を挙げたが、1957年にはプロ野球ワースト記録のひとつ、投手として28連敗という誰も真似出来ない屈辱的な記録を作っている。その次の試合で勝って29連敗を免れた対巨人戦を後楽園で間近に見たことがある。一方、立浪選手は小さい身体ながら引退するまで22年間に亙って中日一筋に活躍し、2千本安打達成と通算2塁打記録を書き換えた。

 ところで、2人の殿堂入りの他にアマチュア球界関係者から選出される特別賞を受賞されたのは、高校の先輩で元日本高校野球連盟会長だった脇村春夫氏である。脇村さんは母校・湘南高校が甲子園初出場初優勝した時、2年生ながら2番を打ち、3塁手として優勝に貢献した。拙著「南太平洋の剛腕投手」の中で母校優勝のエピソードを書いたが、脇村さんの1年後輩だった佐々木信也さんとの関係についても触れた。脇村さんは東大野球部でも主将として活躍されたが、中学生時代に一度神宮球場で先輩のプレイを見たことがある。

 脇村さんが特別賞を受賞されたのは、佐々木信也さんから依頼されて、プロとアマ球界の健全化、及びその橋渡しと融和に貢献されたことが高く評価されたからである。甲子園決勝戦後の表彰式でも会長としての一般的なスピーチの他に、専門的にして技術的なコメントを付け加えていたことが印象に残っている。美智子皇后の従妹でもある先輩の野球殿堂入りを誇らしく、大変嬉しく思っている。

2019年1月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com