4255.2019年1月6日(日) 社会主義国家建設に失敗したソ連と中国

 1949年10月1日中国共産党の毛沢東党主席が中華人民共和国建国宣言をしてから、今年10月に満70年を迎えることになる。一昨年はロシア革命成って100年の節目の年だった。建国時代まだ貧しかったソ連、中国の両国が、その後アメリカと並ぶ米ソ時代から、体制崩壊に陥りソ連が社会主義国家の看板を下ろした。だが、近年中国の発展は目覚ましく今では米中両国が世界の大国として君臨しつつある。

 しかし、かつてのソ連は、国内に多くの矛盾を抱えて自壊作用を起こし、社会主義と決別することになった。一方、中国は今もって社会主義国家の看板を掲げたまま経済面で長足の発展を遂げ、今や国民総生産(GNP)ではアメリカに次ぐ大国となった。ただ、これはほんの表面的な一面であり、実態はそんなに楽観出来るものではない。

 今朝の朝日新聞によれば、意外なことに現時点でロシアの世論は旧ソ連の崩壊を惜しいと思っている人がかなり多くいるようで、それが年々増え今では国民の66%が旧ソ連を懐かしがっているという。当時社会主義国家で国民が平等に恩恵を受けられるという誤った期待から、近年ロシアにおける年金受給開始年齢の引き上げなどに反発する声が多く、待遇への不満が持ち上がっているようだ。これはソ連時代の社会の実態を知らない人たちが、幻想となったかつての社会主義を夢見ているだけに過ぎない。当時のソ連が果たして社会的に平等な生活を供与していただろうか。歴史を振り返ってみれば分かりそうなことである。

 現在の中国にしても、社会主義の看板はそのままであるが、とても社会主義と呼べるような社会体制ではなく、社会の格差が広がり資本主義経済のマイナス面ばかりが目につく。中国は共産党の権力の一極集中によって権力基盤を固め、言論の自由弾圧など資本主義の悪弊を通り越して、現状は独裁的な覇権国家に陥っている。加えて貧富の差が拡大して、支配者層の政治的不正も増え、むしろ窮屈で非倫理的な社会になっている。

 その中国では、4日に中央軍事委員会で習近平国家主席が、中国は発展のチャンスを迎えているが、同時にリスクも増えており軍事闘争の準備を進めなければならないと社会主義なんか忘れ去り、軍国主義的志向発言を行って世界に衝撃を与えた。翌5日には台湾の蔡英文総統が、中台統一を目指す中国が1国2制度を考えていることに反発し。当分中台間の外交関係はスムーズとは行かないだろう。

 果たして今日の中国人は、この現状をどう思っているのだろうか。

 結果としてマルクスが目指したような社会主義社会は実現しなかった。僅かにキューバの社会主義体制のみが国民の間に根付いて国家と国民が手を携えて、歩みは鈍いが、一歩一歩と前進しているように感じた。マルクスの唱えた社会主義は、経済面だけなら国民に幸せをもたらしたと思う。社会主義国家が政治面で権力を揮い出したことが、マルクスの考えとは大きく隔たったものになったのではないか。

 今ごろになってかつて失敗した社会主義を偲び、懐かしがるとは、ロシア人の頭は相も変わらず思考錯誤を重ねていると思う。

2019年1月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com