うららかな陽気の中で桜も各地で開花宣言が出され、いよいよお花見シーズンの到来である。
春の選抜高校野球がたけなわだが、昨日はプロ野球ペナントレースも開幕し、スポーツ界では春爛漫の季節になった。今日も近くの駒澤公園へウォーキングに出かけたが、休みのせいもあり七分咲きの桜の下で子どもたちが駆けまわっていた。
そんなのんびりムードとは別に、昨日家具インテリア業界大手の大塚家具㈱の株主総会が経済界のみならず、世間から広く注目を集めた。創業者の会長である父・大塚勝久氏と娘の久美子社長が経営権を巡って争い、互いに相手を現職から追放しようとする株主総会の場で、委任状の争奪戦を繰り広げた。結局娘の社長派が61%の支持を受け社長を続投することになり、父親は取締役の座からも去ることになった。会社の経営方針を巡る創業者と現経営者の対立というより、親子喧嘩と受け取られ、感情的な争いで株主、社員、取引先、顧客に迷惑をかけるだけだと外部からは厳しく批判されている。
世間の常識から言っても身内の争いほど醜いものはない。大塚家具もその例に漏れず、いくら双方で自分たちが正しいと主張したところで、夫婦喧嘩と同じで親子喧嘩だって犬も食わない。
会社のイメージと企業価値は大きく下がり、こんな事態で得をするのは、一部の投資家だけである。実際61%の支持を得た社長派にしても、元々基礎票は父親にはとても及ばず、全議決権の20%程度と言われていた。そこへ銀行や海外投資ファンドなどの金融筋の支持を得ることによって基礎票が上積みされ何とか勝利を得た。だが、不安定な感があるのは否めない。乱高下する株価をうまく利用される。娘が社長に復帰した1月28日には1005円だった株価が、3月2日には倍以上の2043円にまで急騰した。売り抜けと言われても仕方ないように、11%の議決権を行使したとみられていたアメリカのある投資ファンドは、持ち株のうち6%分を早速売却してしまったという。
家具を販売だけしていれば済むというものではない。生き馬の目を抜く株式業界の習いに太刀打ちしていかなければいけないのだ。
それにしても創業者の父親に退陣を要求するとは、外からは窺い知れない、それなりの事情があるのだろうが、娘社長の行動は常人ではちょっと真似できない芸当だと思う。親子の仲でもあり家庭の中で後顧の憂いはないものだろうか。大きなお世話かも知れないが、あんまり目にしたくない事案ではある。