2880.2015年4月2日(木) 高野山で開山1200年目の大法衣

 今年は弘法大師が、嵯峨天皇から真言宗高野山に真言密教の道場を開くことを許されてから1200年目に当たる。今日から50日間の大法衣に入った。横綱日馬富士も午前中に伽藍中門前で土俵入りを奉納した。寺や地元では行事に集まる参拝客を受け入れるための準備に忙しいようだ。ここには高校の修学旅行で1度訪ねたきりであるが、近くにいるだけで深山に入り込んだような気がする。わが家の宗派も真言宗豊山派であるので、開山へもう少し訪れなければ、弘法大師様には申し訳ないと思っている。

 大法衣中は普段より大勢の参拝、観光客が訪れると予想されているが、地元・高野町の人口は僅か3300人である。その小さな町へこの50日間に30万人がやって来ると予想されている。だが、50年前の1150年目の大法衣では、もっと多くの47万人が訪れた。今年の大法衣では日本人、特に若い人たちの観光客が落ち込む一方で、外国人が増えるのではないかと期待されている。これは2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」としてこのエリアが世界文化遺産として登録されたからである。

 だが、すべてが万々歳というわけではない。時折「世界遺産」について講師を務める機会があるが、その際この世界遺産について触れることがある。ところが、最近問題になっている点がある。東洋研究家のアレックス・カー氏が取り上げ、ユネスコの世界遺産委員会でも問題視し出している。それは遺産の対象となっている長い「参詣道」に沿った両サイドの木柱が、疑似木柱、つまり石柱に巧妙に代えられていると指摘されていることである。オリジナルを軽々に人工的なものに造り変えてはいけないという理念に抵触しているのだ。軽視していると遺産登録が取り消しされる恐れもある。高野山側も承知している筈であるので、上手に対応していくと思うが、大きな問題になってお祝い行事にミソをつけないで欲しいものである。

2015年4月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com