2881.2015年4月3日(金) 神宮再開発でラグビー場は後回し

 昨日国立競技場周辺のスポーツ施設の建て替え計画が明かされた。国立競技場が新たに建設されることは承知していたし、実際すでに今までのスタジアムは解体中である。だが、その他にこれほどの大プロジェクト工事が計画されていたとは寝耳に水である。

 まず驚いたのは、秩父宮ラグビー場が2017年に解体され、2020年東京オリンピック・パラリンピック後に建て替えられるということである。東京ではオリンピックの前年19年にラグビー・ワールドカップが開催されることになっている。日本各地で分散開催されるにせよ、秩父宮殿下のお名前をいただいた日本ラグビーのメッカを最も重要で、利用される前に解体消滅させてしまうことはとても理解できない。都内で主会場として他に使用されるべきラグビー場がないわけではないが、ラグビーのメッカではないし、地域的、設備的には及ばず、名実ともにネームバリューで遥かに劣る。

 一方で、再建される神宮球場はラグビー場の跡地に建設され、完成後に現球場を取り壊し、そこへ新ラグビー場を建設するという。これまでの野球場とラグビー場の土地交換を行うのである。従って、神宮球場ではプロ、学生野球を問わず試合は休むことなく行われる。ちょっとこの計画はあまりにもラグビー界にとって厳しく残酷なものではないか。

 野球なら東京ドーム、マリーン・スタジアム、西武球場、駒澤球場などを運用すれば、さほどの問題なしに実施できると思う。それにも拘わらず、国際的な大会である19年ワールドカップ、そして20年のオリンピック・パラリンピックでも7人制ラグビーを行うのに最も新国立競技場に近く便利な場所にある秩父宮ラグビー場を取り払ってしまうことである。両大会とも秩父宮ラグビー場を使用してから、計画を進めればよいのではないか。これはラグビーファンならずとも首を傾げるところではないだろうか。その点でプロ及び学生野球界はラグビーに比べて遥かに厚遇されている。

 そもそもこの発想とアンバランスな思考はどこから生まれたのだろうか。現秩父宮ラグビー場を訪れた往年の名ラガーマンがテレビで寂しいと語っていたことが印象的である。ラグビー協会ももう少し異議を申し立てても良かったのではないか。

 2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長である森喜朗元首相は、日本ラグビー・フットボール協会会長でもある。森元首相には拙著「南太平洋の剛腕投手」上梓に関して随分お世話になったが、これについて強く意見を述べなかったのであろうか。そう言えば、森氏はつい最近肺がんの手術をされたそうである。ご健康であれば良いのだが・・・。

2015年4月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com