4219.2018年12月1日(土) 半世紀前を想い出させるマレーシアの人種差別的動き

 少々異色だが、興味を惹く記事が朝刊に載っていた。それはマレーシアでまたもや民族問題に火が点きそうな政治的な動きがあることである。半世紀近くに亘ってこれまで国内でマレー系国民を優遇する法律(ブミプトラ政策)が幅を利かせていたが、過日マハティール氏が首相に復帰してから新たな問題が浮上してきた。1969年マレー系と裕福な中華系の間で民族間対立による衝突が起き、多数の死者を生んだ。その結果それまでの中華系優遇を改めてマレー系の優遇を定めたブミプトラ政策が施行されるようになった。それが、再びマハティール政権になって一部マレー系以外の大臣を起用したことが人口の70%を占めるマレー系住民の不安を煽っているようだ。

 実は、1969年の民族衝突による暴動が起きた時、選りに選ってちょうど新婚旅行中でそのとばっちりを受けてしまった。バンコックからマレーシアのペナン島へ飛ぶ予定でバンコック空港へ着いたら、航空会社のスタッフからマレーシアで暴動が勃発したため、戒厳令が敷かれペナン空港は閉鎖されたので、搭乗予定機はキャンセルされたと言われ、私たち新婚夫婦はペナン、クアラルンプール、及びシンガポール行きを諦めざるを得なくなった。翌日特に目的があったわけではなかったが、バンコックから北部のチェンマイへ飛んだ。それはそれで良かったが、えらい事件に巻き込まれたというのがその時の気持ちだった。ほぼ半世紀前、実に49年前のことである。旅行先から妻の実家へ連絡しなかったので、両親はかなり心配していたようだった。

 同じ国内に異民族が居住するとどうしてもトラブルを避けられないことがあるものだ。最近国際的に注目を集めている仏教国ミヤンマー国内へ、戦前当時の宗主国イギリスによって強制移住させられてきたイスラム系ロヒンギャ族が今日大きな国際問題となっているのが典型的な例である。ヤマト民族単一の日本では幸い民族問題は、戦前の朝鮮人、アイヌ民族、一部のエタ問題を除けばほとんどなかったに等しい。それがいま日本でも大きな問題となりつつある。外国人の労働者の受け入れ拡大を目指して出入国管理法改正案が国会で議論されている。すでに法案は衆議院を通過しているが、野党は余りにも拙速であるとして反対している。少子高齢化の影響もあり、労働者が不足していることは間違いないが、細部にもよほど注意を向けないととんでもない「人買い」に成り兼ねない。国会内の動きは拙速のそしりを免れない。どういうことになるのか。

2018年12月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com