4月に入って朝日新聞朝刊では林真理子の連載小説「マイ・ストーリー」が終わり、新たに沢木耕太郎の「春に散る」が始まった。前者は出版業界の現状に自費出版を素材にして男女のさやあてをからませたストーリーで、連載中に小中陽太郎氏が「出版ニュース」昨9月中旬号に拙著「南太平洋の剛腕投手」について書かれた書評の中で、この作品についても描写されていた。
後者の沢木氏の作品は冒頭からフロリダ州マイアミのアメリカ合衆国最南端・キーウェストへタクシーで向かう設定で、これまで「深夜特急」などを通して海外各地の臨場感溢れる特異な旅を描いた筆者らしい構想にいやがうえにも興味が湧いてくる。「深夜特急」は3巻のかなりの長編だったが、私自身訪れた土地も多く、列車やバスで移動しているので、読書中に随分興味を惹かれたが、このキーウェストも訪れたことがありどんな展開になるのか今から楽しみにしている。
これらの連載小説とは別に昨年4月から始まった夏目漱石ものの再連載は、1日からは「それから」が始まった。もちろん学生時代に読んだ作品であるが、これまで再連載された「こころ」「三四郎」と同じように、若いころ読んだ時とはちょっと味わいが変わり読者にとっては受け入れ方が違うように思う。一気に読み通すのではなく、限られた活字数を毎日コツコツと読み続けることが、新聞小説の面白味なのであろう。「それから」も新聞販売店から「それからノート」を購入して一日一日分を整理し、添付して別の楽しみ方を探そうと思っている。
さて、所属するNPOの隔月刊機関紙に毎号エッセイを寄稿しているが、3月号には「イスラム国」について書いた。いつも通りこれをHPにアップして友人たちに知らせたところ、間髪を入れずに読んだと言い感想を送ってくれた2人の女性がいる。それが2人とも海外在住者なのだ。ひとりはセルビアで活動しているバイオリニストで、もうひとりはイスラエルのツアーガイドさんである。お二人ともアラブ諸国はもちろん世界各地を歩いているので、危険に直面することもあり、平和に暮らしている日本人とは大分感度が違うのではないかと思う。そしてやはりと言うべきであろうか、私の臨場感重視について賛意を示してくれる。臨場感の大切さは日ごろよりアピールしている。少しずつではあるが、理解をしてくれる人が増えたように感じている。これからも「臨場感」の大切さをPRしていきたいと考えている。